★旧ソ連やロシアでの活動を経て1990年代初頭にアメリカへ移住、以来NYシーン第一線で30数年に渡り精力的な活躍を続け、Criss Cross他よりコンスタントにアルバムも発表して高い評価と人気を得てきた斯界の顔役の一人、=正統派モダン・トランぺッター:アレックス・シピアギン(1967年旧ソ連のヤロスラヴリ生まれ)の、今回は、クリス・ポッター(ts)、デヴィッド・キコスキ(p)らとのオールスター・クインテットによるまた気合みなぎった一編。
★苦味走ったシリアスな思索性を孕んだ風な2管アンサンブルがしかし青嵐の如く清やかに旗めき、ピリッとスパイスの利いたキレ味鋭いトーンでハードボイルドに咆哮するトランペットや、ダーク・ビターかつアグレッシヴに迫力満点の奔放な大立ち回りを見せるテナー、モーダルとファンキーの間を往来しつつソリッドに躍動するピアノ、らの甘さ控えめの硬質感あるインプロヴィゼーション攻勢が凛然毅然と雄渾なる見せ場を繋いでゆく、これぞ現代ハード・バップの本道たるキリリと引き締まった濃密熱演が続いてフレッシュ・スリリングに昂揚させられ、またこちらの背筋も伸びる思い(背中に鋼を入れられた気分?)の会心打内容。
★硬派で勇壮で概ね厳しい表情のダイナミック・スウィンギンな骨太い今日流モーダル・バピッシュ敢闘!、が圧倒的気魄をもって精悍軒昂そうに推し進められてゆき、リズム・セクションの奇襲性・遊撃性に長けたアタッキングな捲し立てバックアップに上手く触発されつつ、シピアギン(tp,flh)やポッター(ts)の面持ちは幾分シビアめながら水を得た魚のようにひたすら伸びやかに泳ぎまくり、躍りまくる雄々しきアドリブ奮戦が、スカッと壮快に胸のすくヒロイック&テイスティー・グルーヴィーな冴えを、キレを示してゴキゲンだ。
★シピアギン(tp,flh)の、たぎる男気をシャープな吹鳴に変換した感じの、殊の外張りに富み敏捷に疾駆する陰影も濃い強硬ブロウが、爆裂力も鮮やかに凄味十二分の堂々たる華を成しており、バラードや寛ぎ調においてはまろやかな風合いにも転じるものの、そうした場面でも一定の理知的な締まり具合・絞り具合が失われることはない、というひたすら凛々しくタフな花形ヒーロー然とした活躍はカッコよさ抜群で、かたやポッター(ts)の、一ソロイスト・一インプロヴァイザーになりきって嬉々として愉しげに本領を発揮する、変幻自在で激烈だがバップやモードの枠から決して外れない中々の旨口プレイも絶好調、加えてキコスキ(p)の、全体の骨芯を支える抑え役を担いながらもソロが回ってくるとしっかり悔いなく燃え盛る、そのアーシー&エネルギッシュな猛襲ぶりもこれまた痛快芳醇だったりと、リレー(掛け合いもあり)合戦コーナーは理屈抜きのただならぬ盛り上がり=大豊作の態を見せていて格別。
1. Mel's Vision 9:27
2. Summer's End 8:54
3. Four By Five 8:03
4. Maritima 9:08
5. Vesnianka 10:01
6. Bird Food (Take 2) 6:21
7. Balmoral Point 8:30
8. Peggy's Blue Skylight 3:50
9. Bird Food (Take 1 – alternate take) 7:02
Alex Sipiagin (trumpet, flugelhorn)
Chris Potter (tenor saxophone)
David Kikoski (piano)
Matt Brewer (bass)
Johnathan Blake (drums)
2021年4月22日米ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのthe Samurai Hotel Recording Studio録音
レーベル:
Criss Cross
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