★1976年に15歳でプロ・デビューして以来今日まで、実にオールラウンドに超多才ぶりを遺憾なく、大忙しで発揮し続けてきた和ジャズ・ピアノの名匠:小曽根真(1961年兵庫県神戸市生まれ)の、今回は、自身の音楽的ルーツである"ディキシーランド・ジャズ"への思い入れを全開させ、大長老:北村英治(cl)をスペシャル・フィーチャリング・ゲストに迎えての3管セクステットを基本とした渋谷「BODY & SOUL」での白熱のライヴ編。
★重心の安定性と岩石のような骨太で鋭角な感触を備えたゴツッとした硬質タッチのピアノが、ストライドやブギウギの要素も絡めながらブルージー&ハートウォーミングにコクのある歌謡的メロディーを力強く綴り、またダイナミックにスイングして全体をリードする中、これに上手く刺激を受け、ノセられる恰好で、飄々と軽やかに宙を舞い泳ぐ自ずと美しい流線形を保ったクラリネットや、張りとキレのあるトーンでイナセっぽく精悍な吟醸節を唄うビタースウィート風味のピリッとしたトランペット、温かでおぼろな霧笛風のアーシー・ブロウを轟かす包容力に満ちたトロンボーン、らが色彩感豊かで美味しさこってりの充実した見せ場を朗々と飾ってゆく、全編明るく気さくな人情味が心地よく胸に染み入る思いの快演内容。
★ディキシーランド・ジャズとスイング・ジャズの間を往来する感じの、晴れやかで長閑な牧歌性と開放感に貫かれた徹底して大衆娯楽指向のメロディック・スウィンギン快演、が嬉々として陽気に展開され、威勢のいい中にも和気あいあいのインティメイトさや躍動型リラクゼーションを絶やさないスカッとした清々しい道程の上で、気合の入った猛ハッスルを見せる小曽根(p)やあくまで淡麗に脱力した遊泳ぶりに徹する北村(cl)始め、銘々の明朗でおおらか、しかも簡潔濃密にしっかり構成されたソロ活躍がカラフル&テイスティーに全く鮮やかな盛り上がりを呈して素晴らしい。
★小曽根(p)の、メンバー中最も「熱いガッツ」がみなぎっている感じの、真摯に伝統を重んじるオールド・ファッションな渋い燻し銀的行き方と現代感覚を適宜反映した繊細な哀愁浪漫表現の双方に確固たる深い妙味を発揮しきった、その小粋で芳醇な練達ワザが晴れ晴れと冴え渡っていて先ずは傑出しており、一方、ひたすら自然体で悠然と波に乗り続ける風な北村(cl)の、達観しているようであり巧まずして勇み肌っぽくもある吹鳴のあり様も実に懐広げで卓抜、加えて、昔気質の硬派吟醸道を鋭敏軒昂に突き進んでゆくイメージな中川喜弘(tp)のちょっとハードボイルドとも感じられる雄渾プレイや、モダニズム濃厚にダウン・トゥ・アース&ソウルフルなウォーム・スモーキー吹奏を紡いで音空間に新鮮味を吹き込む中川英二郎(tb)の半劇的立ち働き、といった辺りもピタリとツボにハマッて好余韻を残す。
1. MississippiRag
2. Do You Know What I Mean To Miss New Orleans
3. Blues My Naughty Sweetie Gives To Me
4. Memories Of You (tp-p-b-ds quartet)
5. Life Is Beautiful
6. Sun Flower (ひまわり) (cl-p-b-ds quartet)
7. Tiger Rag
8. Bourbon Street Parade
9. Body And Soul
小曽根 真 (piano)
中川 喜弘 (trumpet except 6) (vocal on 8)
中川 英二郎 (trombone except 4, 6) (vocal on 8)
中村 健吾 (bass)
高橋 信之介 (drums)
featuring special guest:
北村 英治 (clarinet except 4)
渋谷 BODY & SOULでのライヴ録音
2022年日本作品
レーベル:
Eight Islands Records
在庫有り
国内制作セミW紙ジャケット仕様CD