★力強いタッチを活かしての超ダイナミックな躍動感溢れる抒情的表現にワン&オンリーの妙味を発揮するも夭逝した、フランス出身の個性派・国際派モダン・ピアニスト:ミシェル・ペトルチアーニ(1962年フランスのオランジュ生まれ、1999年米ニューヨークで死去)の、本盤は、1990年6月23日、デンマークのシルケボリで開催されていたリヴァーボート・ジャズ・フェスティヴァルに出演した折のソロ・ピアノ・ライヴ(於シルケボリ教会)の模様を収めた未発表音源、の初ディスク化。
★端正さと豪快さを併せ持った、歯切れよく力強いクリスタル風硬質タッチのピアノが、繊細でマイルドな耽美的ロマンティシズムをしっとりと優しくも凹凸あるダイナミズムを絡めてドラマティックに活写するバラード調の行き方であったり、ブルース・テイストを濃く投影しつつストライド的な落ち着いた安定律動とアクロバティカルなシーツ・オブ・サウンドっぽいアクション攻勢をミックスして描き出す吟醸路線であったり、スピード感溢れる鋭敏かつ精確な敏捷スイングぶりでエモーショナルに盛り上げるハード・バップ熱演であったりと、縦横無尽にして歌心とブルース・フィーリングそしてバップ・スピリットを潤沢に備えた機略躍動型のメロディック・プレイ、をあくまで朝飯前っぽく軽やかに綴って鮮度抜群の清々しい華を成した会心打内容。
★曲により、或いは場面によりリズム・スタイルやテンポには様々な変化がつけられて一瞬も飽きさせることなく、メロディーの美とスイング感を何より大切にした小気味よく親しみやすいアクティヴなリリカル演奏、が溌溂と展開され、根底にはバラードやブルースのコンセプトが脈々と流れるものの、同時に力学的でスピーディーな大立ち回り激動の齎す圧倒的迫真性やスリル、にもしっかり重きの置かれた、ペトルチアーニならではの超絶技巧がごくナチュラルに活かされての詩的ダイナミック即興が、常に余裕を残した鮮麗なる冴えを見せて素晴らしい。
★気力も旋律創りのイマジネーションも充実しきったその、ある時はデリケート&テンダーに哀愁を映し出すメロウなボッサ調に瑞々しい妙味を発揮し、ある時はゴツゴツした岩石を組み上げてゆくようなソリッド・スウィンギンな鋭角的ブルース節にイナセっぽい吟醸感を濃く立ち昇らせる、という、トータルとしてはそうした抒情的浪漫やブルースの憂歌性を寛ぎ云々よりも結構すばしっこく賑々しく立ち働く「音数多めのアクション」でもってスリリングに体現する、機動力・遊撃力の際立ったどこかオスカー・ピーターソン辺りにも通じる(但し似てはいない)適度に装飾を利かせてくる芸風が、ここでは誠にアザやかな成熟を示していて卓抜だ。
SIDE A
1. P’Tit Louis
2. Round Midnight
3. She Did It Again
SIDE B
1. In A Sentimental Mood
2. Estate
3. Blue Monk
Michel Petrucciani (piano solo)
1990年6月23日デンマーク-シルケボリ(Silkeborg)で催されたThe Riverboat Jazz Festival(@Silkeborg Church)でのライヴ録音
レーベル:
Storyville
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輸入盤LP