★CopeやStunt等よりの諸作に好評を集めてきた、早プロ・キャリア四半世紀余となるデンマークの人気テナーサックス奏者:ヤン・ハルベック(1975年デンマークのオーフス=Aarhus生まれ)の、鉄壁カルテットにコンガも加わって来つつの一編=自作曲集。
★やや掠れ気味の野太い音塊をちょっとけだるそうに引きずるかのようなコクのあるスモーキー・トーンのテナーが、大地に根の生えた如きヘヴィーウェイト感をもってレイジー・デカダンに憂愁的情景を映し出すメランコリック・ブルージー・プレイ、をゆったりじっくりと紡いで、雄々しくも味わい深い醸熟の華を成し、一方、鋭角的キレのよさと骨太重厚さを併せ持ったピアノのストイックげでもある苦味走った硬質スクエアー弾奏もシブ〜い彩りを添えた、全編腰を据えて地の底へ降りてゆく(或いは地を這いずり回る?)感じのダウン・トゥ・アースな妙演が連続して、その殊の外濃厚なウマみに心地よくハマらせてくれる芳醇内容。
★バラードまたはブルースを基調とした、落ち着いたインティメイトな和みムードと小気味のいいスイング感溢れる人情肌メロディック奏演、が滑脱に、伸びやかに展開され、リズム隊の鉄板にして芸の細かい丹誠こもった温もりあるサポートにガッチリ支えられながら、ハルベック(ts)の、豪快でありつつ節度とゆとりを保った「歌心&ブルース・フィーリングの権化」たる旨口ブローイングが悠々と、そしてこってりと豊作ぶりを見せて、至福のリラクゼーションが満喫できる。
→例によって、ベン・ウェブスターからヴィブラートを除いて掠れやくすみだけを抽出し、ポール・ゴンザルヴェスやポール・クイニシェット、或いはドン・バイアスやラッキー・トンプソン辺りにも通じる煤けた煙霧っぽさを加えて、時にはスタン・ゲッツ寄りのクール・ダイナミックさやコールマン・ホーキンス似の泥臭い敏活ソウルフル傾向が顔を出したりもするその、レトロなビ・バップ系テナーによるブルージー・バラード表現の本質・奥義に丹念に迫ってゆく、哀愁と物憂さとタフネスがない交ぜになった吹鳴のあり様は中々燻し銀的で風流この上なく、かたやグンデ(p)の、キリッと背筋の伸びた精悍さで手を代え品を代えのドラマティックな役者ぶりを発揮し、巧みにコントラストをつけて見せる抑えの利いた色彩感溢れる活躍も好インパクト。
1. Balanced
2. One Fine Day
3. Silver String Valley
4. The Enchanter
5. Tranquility
6. Woodwind
7. One Step At A Time
8. The Drive
9. To Be Continued
Jan Harbeck (tenor saxophone)
Henrik Gunde (piano)
Eske Nørrelykke (bass)
Anders Holm (drums)
Eliel Lazo (conga on 1,3,4,7,8)
2022年4月10日&11日デンマーク-コペンハーゲンのBrorson Church録音
レーベル:
Stunt
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