★依然意気盛んな人情肌ブラック・ソウルフル・テナーの大御所:ヒューストン・パーソン(1934年米サウスカロライナ州フローレンス生まれ)の、今回は、ラッセル・マローン(g)、ラリー・フラー(p)らとのクインテットによる、云わずと知れた名エンジニア、故ルディ・ヴァン・ゲルダーとの長きに渡る友情をテーマとしヴァン・ゲルダーにオマージュを捧げた一編。
★ソフトな丸みを湛える中にも鋭いパンチやキレのよさを自然に垣間見せるところのある、中々表情豊かでニュアンスに富んだ美味トーンのテナーが、一定の脱力感やゆとりを保ちながら伸び伸びと哀歓を歌い上げる、スムースでありドライヴ力も備わった「ブルースとバップの権化」たるメロディック・スインギー・プレイを滑脱に、そして丁寧に繰り出してテイスティー・グルーヴィーこの上なしの温かな華を成し、スクエアーでアーシー・バピッシュなピアノや、洗練さと吟醸ソウルを併せ持った豊潤なギター、らもテナーとのコントラスト絶妙に的確な彩りを添えた、全編ノリよくもハートウォーミングな憩いの気分の底流する明朗娯楽派快演が愉しげに貫かれて、何とも心地よくホッと一息つかせてくれる安心内容。
★テンポのある元気溌剌スウィンギンな敏活進撃トラックと、ムーディーなスロー・バラードがバランスよく配置された(どちらかと云うとスロー・バラード中心)、一貫して親しみやすい明快旨口な歌心表現を第一義とするインティメイトな雰囲気の抒情派ハード・バップ大会、が和やかに展開され、1曲1曲はそう長すぎずわりかし簡潔にまとめられた小気味のいい道程の中で、サイド陣のきっちりツボを心得た堅実かつ精緻なサポートに支えられて、パーソン(ts)の、年季を重ねてはいても決して驕らずまるで新人ミュージシャンのような清新で謙虚な心持ち〜初々しさが一音一音から伝わってくる感じの、真心こもった気さくな人情味溢れるアドリブ至芸がひたすら暖かく優しげに、悠々と冴え渡ってゴキゲンだ。
→肩の力を抜きゆったりとした落ち着いた息遣いでマイルド&ブルージーな醸熟フレーズを、一吹きたりともおざなりにすることなく誠実真摯に、丹念に綴れ織ってゆくその、泉のように潤沢な美旋律と超芳醇なコクに満ちた漆黒のまろやかドライヴィング・ブロウ、もしくは時折盛り込まれる爆裂パワー十二分のアタック咆哮、にはさすが揺るぎない雄渾の濃厚なる旨味ならびに懐深い包容力の豊かさが巧まず顕れていてウ〜ム全く見事、秀逸で、一方、ダウン・トゥ・アースでメロウ・グルーヴィーそして粋でイナセなマローン(g)や、鋭角感あるファンキー・バップの本道を突き進むフラー(p)、らのあくまで主役パーソンの盛り立て役という立ち位置をわきまえた上での手を抜かない劇的助演もしっかりデリシャスに奮っている。#06で突如として甘く歌い出すルイス・ナッシュ(ds)の意表を衝いたヴォーカル活躍も好アクセント。
01. At Long Last Love 4:57
02. Again 6:50
03. Moon River 4:48
04.
Put Your Head On My Shoulder 5:27
05. Why Did I Choose You 4:12
06. Nothing Ever Changes My Love For You 4:17
07. My Romance 6:15
08. I'll Let You Know 7:42
09. Please Send Me Someone To Love 7:01
10. Reminiscing At Rudy's 5:50
Houston Person (tenor saxophone)
Russell Malone (guitar)
Larry Fuller (piano)
Matthew Parrish (bass)
Lewis Nash (drums) (vocal on 06)
2022年7月19日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Recording Studio録音
レーベル:
HighNote
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