★チック・コリアやハービー・ハンコックに影響を受けたという、スウェーデンのキャリア豊富な正統抒情派ピアニスト:トミー・クローナの、ハンス・バッケンルート(b)&イェスペル・クヴィーベリ(ds)との磐石トリオによる一作。
★折り目正しく滑らかさとキレのよさが自然に掛け合わされた、清爽な潤いを放つクリアー・タッチのピアノが、歌謡性とブルース・フィーリングそしてバップ・スピリットに溢れ、マイルド風味のモード系アクション・センスも備えるバランスのとれた躍動的メロディック・プレイ、を流麗に紡いでスッキリとした鮮度抜群の華を成し、雄弁に唄うスピリチュアルなベースや鋭く空を斬り刻むパンチの利いたドラム、らの助演も堅実にして美味しさたっぷりの彩りを添えた、全体を通じ明朗で取っ付きやすい人情味と現代的スマートさに貫かれた快投が続いて小気味よくノセ、ハートフルに和ませてくれる好演内容。
★歌心とスイング感にポイントを絞り、ブルージー・バピッシュな粋で渋い吟醸味も自ずと有した、ごく親しみやすい明快直球型のリリカル・エンタテインメント派快演が和気溌溂と晴れやかに展開され、ちょっと大雑把に捉えるならチック・コリアと云うよりはむしろエヴァンスの影響を強く感じさせる、要するにエヴァンス以降のモーダル抒情派ピアノ・トリオの典型を示した、極めてオーソドックスな安定安心のテンポよき道程の中で、バッケンルート(b)やクヴィーベリ(ds)の小回りを効かせてシャープに遊撃してくる機転あるサポート、に適宜刺激を受けながら、クローナ(p)の、気品と節度を保ってリキまず悠然と端麗なメロディーを歌いきる、軽妙洒脱でゆとり・余白を残したアドリブ技が中々風流に冴え渡って素晴らしい。
→北欧色はそう濃くはなく、あくまでシンプル・ストレートに旋律と和声の美しさを大切にした、今日流リリカル・ピアノの正統らしい滑脱アクション型のスウィート・ロマンティック節を潤沢な泉の如く流れるように繰り出し続け、並行して小粋さ香るファンキー・バップ文体なども絶妙の匙加減、絶妙のタイミングで挿入してくる、という、その耽美性と独特の"軽み"がナチュラルに身に染みついた感じの巧まざる弾鳴のあり様は、さりげなく含蓄や雅趣に富んでいて秀逸だ。
01.
It Could Happen To You (Jimmy Van Heusen)
02. Mirror Mirror (Chick Corea)
03. Pannonica (Thelonious Monk)
04. Love Is A Many Splendored Thing (Sammy Fain)
05.
Stablemates (Benny Golson)
06.
Bud Powell (Chick Corea)
07.
To Wisdom The Price (Larry Willis)
08. Lullaby Of The Leaves (Bernice Petkere)
09. Simple As That (Peter Bernstein)
10. Voyage (Kenny Barron)
11. Ugly Beauty (Thelonious Monk)
12. Visa Från Utanmyra (Traditional) (solo piano)
Tommy Crona Jazz Trio トミー・クローナ・ジャズ・トリオ:
Tommy Crona トミー・クローナ (piano)
Hans Backenroth ハンス・バッケンルート (bass except 12)
Jesper Kviberg イェスペル・クヴィーベリ (drums except 12)
2022年1月14‒16日スウェーデン-イェーナのイェーナ文化ホール(Järna Kulturhus)録音
レーベル:
Opus 3
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