★トロントを主たる拠点として活躍する、Cornerstone諸作等でお馴染みなカナダの人気ヴェテラン・テナーサックス名手:マイク・マーリー(1961年カナダ-ノヴァ・スコウシャ州ウィンザー生まれ)の、今回は、若手女性ピアニスト兼ヴォーカリストのハンナ・バーストウ(1994〜)をフィーチュアし、ベースのジム・ヴィヴィアンを伴ったドラムレス・トリオによる一編。
★端正なタッチで繊細に詩情を映すピアノや、澄んだ爽涼感と柔和な暖かみを併せ持った声質によるテンダー&ロマンティックな優しいヴォーカル、も瑞々しい魅力を放つ中で、肉太くも引き締まったトーンのテナーがドライヴ感溢れるダイナミック・ブルージー咆哮をタフげに繰り出して、こってりコク旨で重みある雄渾の映えを見せ、分厚くもウネりの効いた弾性満点なベースの鳴動もスピリチュアル・グルーヴィーに頼もしい妙味を発揮した、全体を通じドラムレスならではのまろやかな流麗スイング感と美旋律の宝庫たる銘々の抒情派プレイとで心地よくノセ、ハートウォーミングに和ませてくれる好演内容。
★親しみやすいマイルドな歌心表現と小気味のいい律動的ノリの醸成を変らず第一義とし、伝統に深く根を下ろした粋渋なブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に有した、一貫してインティメイトな和気あいあいのリラクゼーションと温もりの底流する安心安定のリリカル快演、が愉しげに展開され、ホッと一息つける趣味のいい憩いの気分と敏活なスウィンギンさを絶やさない快適この上なしの道程の中で、マーリー(ts)の芳醇で懐の広そうな吹奏や、バーストウ(vo,p)の清新で馨しいデリケート歌唱、が中々余情豊かに見せ場を分け合って好印象を残す。
★マーリー(ts)の、バーストウがヴォーカルをとる曲では概ね華やかな主役の座はバーストウに譲るという余裕のあるところを見せながら、終始肩の力の抜けた自然体調子で伸び伸びと、悠々と熟練妙技を揮って上機嫌そうなその、ソフト・スムースな波乗り調の流線形スタイルとよりハードで逞しい渦巻きパワー傾向をミックスしつつ溌溂と邁進してゆく、徹頭徹尾メロディアスでスモーキーかつ結構ソウルフルな泥臭さを時折垣間見せもする吹鳴のあり様が、実に鷹揚に包容力ある魅力を放っており、ソプラノに持ち替えても尖りすぎず滑脱な丸みを呈した瀟洒で優しい唄いっぷりに徹する、辺りも誠にデリシャスで好感度抜群。
★一方バーストウ(vo,p)の、クール・フレッシュな初々しさと妖艶な大人の色香の掛け合わされた、時にメロウ・テンダーな抒情指向、時に陰影濃くブルージー・グルーヴィーな本格派筋、の堂々こなれたヴォーカルも説得力&スター性充分。
1. Don't Look Back (J. Mandel, K. Dunham) 5:35
2. Who Are You (K. Wheeler, J. White) 6:03
3. Sprawling Space (M. Murley) 7:40
4. The Old Country (N. Adderley, C. Lewis) 5:58
5. Once Upon A Summertime (M. Legrand, J. Mercer) 4:27
6. I Will Wait For You (M. Legrand, N. Gimbel) 5:07
7. En La Orilla Del Mundo (M. Rojas) 6:08
8. In A Summer Dream (H. Barstow) 5:15
Mike Murley (tenor saxophone except 3, 8) (soprano saxophone on 3, 8)
Hannah Barstow (piano) (vocal on 1, 2, 4, 5, 6, 8)
Jim Vivian (bass)
2022年6月2-3日カナダ-トロントのInception Sound Studios録音
レーベル:
Cornerstone
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