★過去凡そ20年来ニューヨーク・シーンで活動、ハミエット・ブリュイェット、ロニー・キューバー、ゲイリー・スマリアンらに師事し、ロイ・ハーグローヴ・ビッグ・バンドやDr.ロニー・スミス・オクテット、オリヴァー・レイク・ビッグ・バンド等で腕を揮ってきた、確かな実力と個性を持つ黒人バリトンサックス(テナーサックスやフルートも操るマルチ・リード奏者でもある)の逸材:ジェイスン・マーシャルの、自身はバリトンに専念したワンホーン・カルテットによる一編。
★強烈なハード・ドライヴ感を渦巻かせながらどっしりヘヴィー&ダイナミック・スウィンギンに咆哮しまくるバリトンのブットい豪快プレイ!、がちょっと問答無用っぽく殊の外タフ&ストロングな武勇さみなぎった堂々たる華を成し、これに負けじとシャープ&ソリッドに歯切れよくノリにノるリズム・セクションの敏活で安定した律動ぶりも、百発百中で的確にグルーヴを高めた、全編潔いまでの直球勝負な娯楽活劇アクション大会が嬉々として意気軒昂に決め込まれてスカッと昂揚させてくれる、正に胸のすく思いの会心打内容。
★歌心とスイング感にシンプル・ストレートにポイントを絞り、伝統的・吟醸的なブルース・フィーリングやバップ・スピリットも自ずと潤沢に備わった、これぞ人情派大衆エンタテインメントの鑑とも云うべき「純正ハード・バップ」・タイプの単純明快な躍動的熱演、が腰を据えて伸びやかに、おおらかに力強く展開され、質実剛健の男臭い雄渾たる突撃驀進が続く迷いなき武骨な道程の中で、マーシャル(bs)のひたすら逞しく生々しいガッツほとばしる完全燃焼の超エネルギッシュな濃い口アドリブ奮戦が、サイド陣の存在を霞ませてしまうほどの圧倒的迫真力をもって豪放磊落に映え渡っており、全く痛快だ。
→ペッパー・アダムスやニック・ブリニョーラ辺りの流れを汲む、硬派バリトンの王道然としたブリブリの重厚爆裂スタイルを変らず身上として、少々荒っぽく野性味全開で激烈に、パワフルに雄叫びを上げ、肉太く分厚いパンチ・キックをカマしてくるような強靭この上ない大立ち回り攻勢=体当たりアタックをかけ続けて、こってりしたコクと圧ある芳醇オーラをこれでもかと不屈げに振りまきまくるが、反面、バラードや抒情指向のトラックにおいては、「タフガイの朴訥でナイーヴな嘆き」にとどまらないマイルド・メロディックで繊細な機微・ニュアンスに富んだ独自の哀愁リリシスト〜耽美派ロマンティストぶりもセンシティヴに発揮するなど、さすがビッグ・バンド修行で鍛え抜かれ培われたその引き出し・ヴォキャブラリーの豊富さにも確かな説得力がある。
★マーシャルに押されながらもカッチリしたスクエアーな「バップ+ファンキー」語法の堅実ワザで果敢に拮抗を見せるケアリー(p)や、朝飯前の軽やかさでトータル・サウンドにヴァラエティー豊かな多角的彩りをつけてゆく何げに鋭利さ・機敏さ鮮麗なるジョーンズIII(ds)、らの助演も中々きららかに光っている。
1. Recordame
2. I Could Write A Book
3. Airegin
4. Black Orpheus
5. Peggy's Blue Skylight
6. Ms. Garvey, Ms. Garvey!!
7. Fallen Feathers
8. I'll Never Stop Loving You
Jason Marshall (baritone saxophone)
Marc Cary (piano)
Gerald Cannon (bass)
Willie Jones III (drums)
2022年1月30日米ニュージャージー州イングルウッド・クリフスのVan Gelder Recording Studio録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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紙ジャケット仕様CD