CATFISH RECORDS

★早ヴェテランの域に入る現代黒人テナーサックスの最高実力者の一人：グレゴリー・ターディー(1966年米ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ)の、今回はマーカス・プリンタップ(tp)を迎えたクインテット基本での一編。

★丸っこく渦巻きウェイヴを描くようなソフトで弾性ある風合いと、甲高く爆発的にパンチ・キックをカマす感じの鋭い炸裂性、を併せ持った旨味濃いトーンのテナーが、思索性と熱情を孕んだ精悍軒昂そうなモーダル・ダイナミック吹奏を結構悠々と繰り出して雄々しき華を成し、ピリッと苦味走ったハードボイルド調のスウィンギン節をシャープに轟かせる凛々しいトランペットや、エネルギッシュ&アグレッシヴに前のめりの疾駆ぶりを見せるアツいピアノ、らの活躍もしっかり鮮烈に彩りを添えた、全編今日のストレートアヘッド路線の本道ド真ん中を突き進む敢闘が横溢して壮快に昂揚させ、また豊かなコクを満喫させてくれる高密度内容。

★硬派でパッショネートな雄渾のスケールと迫真力を湛え、なおかつ明朗な歌心や吟醸的ブルース・フィーリングにも事欠かない、中々モーレツにスイングする現代ハード・バップのこれぞ真骨頂!たる力強い、そして歯切れよい熱演が圧倒的覇気をほとばしらせながら展開され、リズム・セクションの、ツボを心得た安定律動を見せる一方、随所で意表も衝いてくる機略縦横なる遊撃的サポート、に上手く触発されて、ターディー(ts)を筆頭とする銘々の腰の据わった伸びやかなアドリブ奮戦が、気魄もみなぎった勇猛なる盛り上がりを呈してゴキゲンだ。

★ターディー(ts)の、エモーショナルで激烈な攻撃的躍動を示すものの絶妙に肩の力が抜けていて終始一定の余裕や節度を保った、わりかしゆったりと流れに身を任すが如き滑脱な旨口ブローイングが懐深げに泰然たる冴え渡り様を見せていて傑出しており、またクラリネットに持ち替えてのクールな表層の内側から熱気がじんわり漂ってくる舞い泳ぎ技にも独自の妙味があり、加えて、プリンタップ(tp)の背筋を伸ばしてシャキシャキ・キビキビ鋭敏に立ち働きつつも、ターディーと同じくワンポイントのゆとりを絶やさない醸熟プレイもさすが鷹揚そうな魅力を放ち、ブラウン(p)のモード傾向の強い一本気な疾走ワザ(バラードでは軽妙小粋な寛ぎファンキー節も披露)にもイナセっぽい本領が揮われていたりと、個人芸の見せ場は殊の外充実している。

1. The Omnipresent Cardiologist
2. For Deacon Rocky
3. I Choose You (ts-p-b trio)
4. A Tree And It's Fruit
5. The Intelligent Design
6. Sufficient Grace
7. Nick Hoot
8. Janel's Love Song (ts-p-b-ds quartet)

Gregory Tardy (tenor saxophone except 5) (clarinet on 5) (bass clarinet on 6)
Marcus Printup (trumpet except 3, 8)
Keith Brown (piano)
Sean Conly (bass)
Willie Jones III (drums except 3)

2021年7月29日ニューヨークシティのSear Sound Studios録音

レーベル：WJ3

在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
デジパック仕様CD