CATFISH RECORDS

★カナダ-モントリオールを拠点に活動し、過去配信オンリーで幾つかアルバムを発表していた若手実力派ギタリスト：マチュー・スーシの、セルフ・プロデュースによる初のCDアルバム、＝ピアノ・トリオを伴ったカルテットを基本に、2曲では人気女性歌手ケイティ・ジョージが加わってくる体制での一編。

★鋭い尖りと団子っぽい丸みが渾然一体化し、潤いと旨味をたっぷり含んだ濃やかなトーンのギターが、バップ・ギターの伝統にしっかりと根を下ろした細かく角折れするような歯切れのいい殺陣風のダイナミズム表現を基調とし、アーシーな濃い吟醸感あるブルース的小節も豊富に盛り込んで熟成したコクをも放つ、徹頭徹尾オーソドックスな粋渋プレイを敏活滑脱に紡いで哀愁とガッツみなぎった雄々しき華を成し、熱気を孕んだスマート・モーダルな攻勢をかけてくるピアノの追撃もギターとのコントラスト鮮やかに魅力を揮った、全体を通じ極めて堅固な鉄板の妙演が連続して確たるグルーヴと醸熟の味わいを満喫させてくれる会心打内容。

★一貫して勇ましい精悍さ・凛々しさをほとばしらせた「硬派」なハード・バップ演奏、がシャープ&ソリッドに揺るぎなく展開され、リズム隊のツボを心得た精緻な安定律動性と威勢よく賑々しく猛襲してくるゲリラ的遊撃性を併せ持った機動型サポート、にガッチリ支えられ、また上手く煽られながら、スーシ(g)の、腰の据わった泰然自若さをもって硬質性と旨口のグルーヴ感に溢れた勇み肌なフレーズを繰り出し続けるアドリブ奮戦が、実に正々堂々とブレなげに冴え渡って壮快だ。

→クリスチャン〜ケッセル系バップ・ギターの正統的スタイルを変らず根幹とし、ファーロウやバレル辺りにも底通するよりハード&ホットなドライヴ感も加味しつつひたすら鋭敏に、キレのある突撃邁進ぶりを貫くその、一点の迷いもなくオーソドキシーを重んじる「ブルージー・バップの権化」然としたちょっとオールド・ファッションな弾鳴のあり様は、頑固一徹職人気質っぽいシブ旨でこってり芳醇な魅力ならびにイキな人情味に満ちていて好感度抜群、説得力も絶大。一方、純正バッパー型芸風のスーシ(g)に比して陰影と苦味濃いモード・スタイルに徹して拮抗するMG(p)や、キュート&グルーヴィーな妖艶さを香り豊かに振りまくジョージ(vo)、らの助演も巧く好アクセントを成している。

1. Lennie's Changes
2. Where Or When (Rodgers / Hart)
3. Turner Days
4. Blues For Barry
5. Thinker And A Fool (lyrics: C. Gyorgy)
6. Mike's Mudra
7. 5th Avenue
8. Reflections (T.S. Monk) (solo guitar)
9. Recollecting

Mathieu Soucy (guitar)
Gentiane MG (piano except 8)
Mike de Masi (bass except 8)
Jacob Wutzke (drums except 8)
Caity Gyorgy (vocal on 2, 5)

カナダ、モントリオールのMixart Studios録音
(2022年作品)

レーベル：自主製作(Inner-Bop Records)

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デジパック仕様CD