★1980年代から活動してきた個性派女性アルト&ソプラノサックスのヴェテラン覇者:早坂紗知(1960年東京都生まれ)の主導する、夫君:永田利樹(b)並びに息子:RIO(bs)とのファミリー・バンド=TReS(トレス)、に伊藤志宏(p)と大儀見元(per)の加わった"Baila TReS"によるアルバム3作目。
★キュッと鋭く絞りを利かせ時折フリーキーに歪曲もするアルトやソプラノの、切迫感をもって烈々と叫ぶようなスピリチュアル・アクション咆哮!、が問答無用っぽく圧倒的気魄に満ちたアツく華やかな見せ場を猛々しげに飾り、一方、重厚な質感も頼もしく野太いパンチをカマしてくる感じのバリトンの、よりハード・バピッシュなグルーヴィー・ブロウもしっかりテイスティーに拮抗を見せ、また南国調の賑々しい舞踏的ノリを演出するパーカッションや、熱情と思索性を織り混ぜつつリズミカルに躍動する硬質ピアノ、粛々と堅実に安定律動するドライヴ感とコクに溢れたベース、らの活躍も各々ハマるべきツボにピタリとハマりきって旨味濃い魅力を放った、全体を通じ確固たる骨芯の据わったグルーヴとパッションが空間をイキイキと躍って清やかに昂揚させてくれる、充実した敢闘内容。
★空間底部で唸るようなパーカッションの鳴動も奏効してラテン・グルーヴ物寄りの敏活なノリのよさが齎されながら、今日流モーダル・ジャズの正統らしい熱気みなぎったリリカル・アクション・タイプの奮戦・驀進が迫力満点に展開され、全者一丸となったその生々しい気合がダイレクトに伝わってくる実にエキサイティングな道程の中で、大方は早坂(as,ss)とRIO(bs)の2人を花形役としたソロ合戦もしくは掛け合いコーナーが、鮮烈なる盛り上がりを呈して壮快だ。
★早坂(as,ss)の、情魂が熱く煮えたぎってゆく様を中々壮絶に描破するといったイメージの、スピリチュアリティも全開させたエネルギッシュ&アグレッシヴな絶叫あるいは甲高いさえずり鳴き調の立ち回りワザを最得意として聴く者をその「圧」で大いに興奮させてくれ、かと思えば一転して爽やかにそよ吹く清風のようなメロウ・テンダーな半牧歌的寛ぎ節にも得難い妙味(ハートウォーミングな安心感とか)を悠々発揮して見せたりと、さすがダテに年季を積んではいないそうした懐の深い吹鳴のあり様が何とも余情豊かに華を成しており、かたやRIO(bs)の、早坂にモーダル・スピリチュアル&ワイルドな激烈方向へ持って行かれそうなところを懸命に「ハード・バップ」らしい粋渋旨口の温和エリアへグループ全体を留まらせんとするかのような、あくまでマイルド・ブルージーなバピッシュ・テイストを死守しつつダイナミック・スウィンギンに跳ね躍る滑脱ブローイングがまた、早坂とはコントラストも鮮やかに芳醇なオーラを放って絶品。
★ハードボイルド調の力学的アクションやノリノリのR&Bファンク路線ワザなどで上手くアクセントをつける伊藤(p)の助演も好印象。
1. 最強のふたり / The Strongest Two
2. Ghost On The Clave
3. 悠久の青
4. Revive
5. 金色のけむり / Humo Dorado
6. Bass Snake
7. Choro Para Mei
8. Tsubame (Viva Swallows!)
Baila TReS:
早坂 紗知 (alto saxophone, soprano saxophone)
RIO (baritone saxophone)
伊藤 志宏 (piano)
永田 利樹 (bass)
大儀見 元 (percussion)
2022年日本作品
レーベル:
Nbagi Record
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国内制作デジパック仕様CD