★デンマーク-コペンハーゲンを拠点に自己のコンボや幾種かの企画グループで精力的に活動し、アルバムも(Cope、Stunt、Daywood Drive、Calibrated、Edition等より)着々と発表して高い評価を得てきた、個性と実力十二分の中堅ピアニスト:モーテン・シャンツ(1980年生まれ)の、今回はベース&ドラムとのトリオを基本にゲスト陣(パーカッションや3管アンサンブル)も加わって来つつの一編。
★端正で精緻そして落ち着きやゆとりを匂わせ、潤いと涼感に富んだクリアー・タッチのピアノが、パワフルな硬質的ダイナミズムと瑞々しい哀愁ロマンの掛け合わされた躍動型メロディック・プレイを、あくまで力は八分目で軽快に紡いで生鮮度抜群かつ余情深い華を成し、ベース&ドラムの敏速な遊撃力・機動力と安定律動性の双方に長けた中々芸の細かいフレキシブルなサポートも、ノリとスリルを的確に醸成して頼もしく魅力を際立たせた、全体を通じ主役ピアノの悠々とリズミカルに宙を舞い泳ぐかのようなどこまでも流麗滑脱な鳴動が、聴く者を実に爽やかに魅了してくれる会心打内容。
★現代北欧抒情派ピアノ・トリオ(+α)の一典型を示した、独特の耽美的ロマンティシズムと仄かなフォーキー・エキゾティズム、加えてモーダル・バピッシュな硬派筋の迫真アクション性・力学性がごく自然に共存する、コンテンポラリー・ビートに乗せた小気味よくもスピード感あるアクティヴなリリカル演奏がイキイキと展開してゆき、ベース&ドラムの、ピアノの一音一音に敏感敏捷に感応しつつ鋭いアタックをカマしてくる自在なバックアップに上手く触発されて、シャンツ(p)の、闊達快活でありながら終始穏やかな「和」の感覚を失わない、全く独自の節度と抑制あるアドリブ妙技が殊の外清新に冴え渡って素敵だ。
→ハービー・ハンコックやチック・コリア、キース・ジャレットらの成果を充分踏まえながら、しかし誰にも似てはいない、ワン&オンリーの牧歌的フォーク浪漫風情を絡めてひたすら軽やかに、余裕ある滑るが如き歩の進め様を見せるその、そよ吹く清風あるいは煌めく朝露を思わせるマイルドな弾鳴はこの上なくクール・フレッシュな妙味と余韻深さに溢れていて絶品。結構「ファンク」で「バップ」な勇み肌っぽい個性を揮う#4でのAnders Malta(tp)のソロも好アクセント。
1. Mountainer (5:19)
2. Hidden Island (6:56)
3. Ankarhelten (3:59)
4. Pokhara (6:24)
5. Dynasty (1:24)
6. The Yes Cat (6:31)
7. Apia (6:25)
8. Passenger (6:39)
Morten Schantz (piano) (ondomo=電子キーボード on 4, 8) (electric piano on 8)
Morten Ankarfeldt (double bass)
Janus Templeton (drums)
guests:
Ayi Solomon (percussion on 1, 3, 7)
Anders Malta (flugelhorn, trumpet on 4, 8 ; solo on 4)
Anders Banke (flute, clarinet on 4, 8)
Nicolaj Henriques (bassoon on 4, 8)
Recorded at Kole Studios,Copenhagen,Denmark,May 22th-24th 2020
レーベル:
April Records
在庫切れ 可能な限りお取り寄せ致します
見開き紙ジャケット仕様CD
VIDEO