★国立音楽大学ジャズ科に学び、椎名豊、小曽根真、塩谷哲、宮本貴奈、山下洋輔らに師事、2018年に卒業後は東京のライヴ・シーンにおいてジャズ、ファンク、ポップス、と幅広いフィールドで精力的に活動してきた、若手ピアノ期待の星:Hiromu(田谷紘夢 たや ひろむ)(1995年生まれ、大阪府出身)の、国立音大での同期である佐藤潤一(b,elb)&多田涼馬(ds)とのレギュラー・トリオによる、六本木アルフィーでのライヴ編。
★歯切れよくコツンと鋭角に突き立った硬質感や骨芯の太さと、端正で滑らかなセンシビリティ、を併せ持った表情豊かな小石風タッチのピアノが、バップ・イディオムとモード・イディオムを掛け合わせた中々スケールの大きなダイナミック・アクションを根幹とし、濃いめのブルース・テイストを発散するアーシー節も随所に盛り込んで上手く和み処をも形成する、という、ごくオーソドックスな王道プレイを溌溂と繰り出し続けて、硬派で雄々しくもイキでイナセな華を泰然げに成し、ドライヴ感とコクに溢れたよく唄う肉厚ベースや堅実に安定律動する何げに芸の細かい敏捷ドラム、らの決して奇を衒わないサポートもピタリとツボにハマッた、全編小気味よくスウィンギンにノれ、またホッと一息つける温もりと勢い満点の安心内容。
★歌心とスイング感とブルース・フィーリングそしてバップ・スピリットに潔くポイントを絞り込んだ、極めてストレートアヘッドな現代ハード・バップ系ピアノ・トリオの鑑とも云うべき真っ向勝負の娯楽活劇的グルーヴィー快演、が嬉々として愉しげに展開され、隙あらば出張ってきて雄弁にスピリチュアル・フレーズを綴る佐藤(b,elb)の侵攻ぶりも上手いアクセントを成す、さりげなくメリハリの利いた道程の中で、主役:Hiromu(p)の機動的で敏活それでいてしっかり落ち着いて(或いはリラックスして)もいる、巧まずバランスのとれたアドリブ妙技がひたすらスッキリと清々しく爽やかに冴え渡ってゴキゲンだ。
→ハンコック、チック、マッコイらの奏法を吸収消化した凹凸感ある力学的立ち回り攻勢で迫力十二分に昂揚させるが、その弾鳴には暑苦しさは微塵もなく、むしろ、本領としてはそうしたモーダル・アクションを基点としながらよりオールド・テイストな純正ハード・バップ調や寛ぎファンキー路線(軽涼な玉転がしブロック・コード技もバッチリ板に付いている)に大幅に接近した粋渋なアプローチ、もしくはより甘美で繊細なバラード等のロマンティシズム表現、といった辺りにこそ遺憾なく揮われている感があり、全体を通じ雄渾のエネルギッシュ・ダイナミズム猛襲!でスタートしつつもマイルドで瀟洒な風流典雅地帯へ飄々と着地して見せる、独特の軽みの効いた音のあり様がユニークな個性を成立させていて見事。
1. 6 Trees
2. After The Rain
3. Suspicious Dance
4. Holy Night
5. Warm
6. The Unknown
7. Close To You
Hiromu (piano) (vocal on 7)
佐藤 潤一 (bass, electric bass)
多田 涼馬 (drums)
東京・六本木 Jazzhouse Alfieでのライヴ録音
(2022年日本作品)
レーベル:
LIVE at alfie
在庫有り
国内制作 W紙ジャケット仕様CD