CATFISH RECORDS

★熟味も増してきたピアノ弾き語りの人気歌姫：チャンピアン・フルトン(1985年米オクラホマ州ノーマン生まれ)の、今回は、多忙を極めるハンス・バッケンルート(b)＆クリスチャン・レス(ds)、というスカンジナヴィアン筆頭リズムを伴ったトリオによるデンマークでのスタジオ・セッション編。

★ハキハキ明晰でしなやかな張りと程好い厚みある、また澄んだ透明感や爽涼さを湛えた清風を思わせる中高音の美声が、歌詞とメロディーを大切にしたナチュラルな抒情的スタイルを基本としながら、小気味よくリズムに乗ってダイナミックにグルーヴを体現するスウィンギン・アクション風の行き方や、粋で渋い吟醸的ブルース節も的確適量織り混ぜて上手くメリハリをつけ、ごく一部ではスキャット〜ハミング系統の小技も軽やかに繰り出して転回を演出、しかしトータルとしてはあくまで瀟洒で肩の力の抜けたテンダネスや寛ぎ気分が損われることはない、という、さりげなくバランス絶妙の半劇的歌唱を流麗かつ端正に綴って、誠にキュート&メロウな瑞々しい華を成し、歌に続いて披露するピアノのソロも、カキコキ固い堅牢タッチによる中々硬派でイナセ筋っぽい精悍プレイが続発してこれまたアジな好アクセントを形作った、全体を通じて趣味よくシャレたラウンジ小唄セッション的邁進が貫徹されて快適にノセ、憩わせてくれる極楽内容。

★インティメイトな和気あいあいのリラクゼーションと歯切れよく敏活なスイング感の堅持された、「寛ぎリリカル・ヴォーカル物の鑑」とも云うべき親しみやすく軽妙洒脱ななごんだ道程が続き、録音効果かちょっとひんやりクールな空気感も漂う実に居心地のいい音場・展開の中で、ベース&ドラムのしっかりツボを心得た堅実にして結構パワフルなサポートに頼もしく支えられ、導かれながら、フルトンの、歌にピアノに溌溂&伸び伸びと本領を遺憾なく発揮した、何とも愉しそうな活躍が吹き抜ける青嵐の如く爽やかな魅力を放ってゴキゲンだ。

→流れるように滑脱にリズムに乗ったブルージー・スインギーなグルーヴ感ある歌い回しを見せるも、その歌声にはきめ細やかなニュアンスやウィットっぽさが自ずと宿っている、そうした、軽みや躍動感あるいはこなれたノリと誠実で丁寧かつ可憐なデリカシーや清楚さが渾然一体化した演唱のあり様は、一聴サラリとしていながらさりげなく奥深い余情〜雅趣に富んでいて卓抜(←巧まずして懐の広い、包容力と含蓄あるキャラがチョチョイのチョイと確立されていて見事!)で、一方ピアノでの、わりかし昔気質な伝統的バップ・イディオムにキッチリ則った殺陣風のスクエアー・アクションや、勇ましさも仄めくイキなファンキー節、レトロで長閑(のどか)しかもヘヴィー・パワフルなストライド技など、ヴォーカルとは好対照を成した「豪快な」打鍵捌きにもまた芳醇なる魅力がある。

01. オール・オブ・ユー
02. ビーズと腕輪
03. ブルース・フォー・ジェイ・マクシャン (instrumental)
04. ボディ・アンド・ソウル
05. エヴリ・ナウ・アンド・ゼン
06. あなたに首ったけ
07. ハッピー・キャンパー (instrumental)
08. アイ・ドント・ウォント・トゥ・セット・ザ・ワールド・オン・ファイア
09. 夢であえたら (instrumental)
10. 恋に寒さを忘れ
11. オパス・デ・ファンク (instrumental)
12. ペニーズ・フロム・ヘブン

Champian Fulton チャンピアン・フルトン (piano) (vocal except 03, 07, 09, 11)
Hans Backenroth ハンス・バッケンロス(バッケンルート) (bass)
Kristian Leth クリスチャン・レス (drums)

2020年11月23,24日デンマーク-オーフス(Aarhus)のFinlandStudio録音

レーベル：ヴィーナスレコード

在庫有り
国内制作 見開き紙ジャケット仕様CD