CATFISH RECORDS

★アルトサックス奏者兼作編曲家のヘルゲ・アルビンをリーダーとして、スウェーデン南部のマルメ(Malmö)とその周辺地域のミュージシャンたちが集まって1979年に結成された18人編成のビッグ・バンド：トルヴァン・ビッグ・バンドの通算14作目のアルバム。作曲・編曲は全てヘルゲ・アルビンが手がけている。

★ピタリと息の合った端正でゴージャスなホーン・アンサンブルが雄渾げに轟き渡った後、フロントに颯爽と立つアルトのハードボイルドでモーダル・ダイナミックな苦味走ったアクション咆哮や、1960年代のマイルスを思わせるところもあるトランペットのピリッとしたフリー・ブローイング調の硬質インプロヴィゼーション、鋭い尖り感とまろやかなソフトネスが渾然一体となったソプラノのパッショネートな囀り吹奏、などがバックのアンサンブルと色彩鮮やかなコントラストを描きながらドラマティックに、そして適宜簡潔に華やかな見せ場を飾ってゆく、全体を通じ生々しいフレッシュなスリルと周到な設計構成意匠とが抜群の相乗効果を生んだ、極めて密度の高い敢闘内容。

★コンテンポラリーなモダン・ビッグ・バンドの正統らしい、パワフルでスケールもデカくスウィンギンな突撃驀進が精悍に、勇壮に展開され、作編曲＝スコアー面の精妙巧緻に創り込まれた細密な巨大建築の如き趣やインテリジェンスっぽさ〜頭脳性と、各ソロイストが腰を据えて伸び伸びと完全燃焼する現代ハード・バップのブローイング・セッション物的なアツい盛り上がり、との交錯・融合でメリハリも充分にエキサイティングな興奮が齎され、また旨味たっぷりの特上なる豊饒世界が形成されている。

★アルビン(as)の、いい意味でヴェテランらしからぬ若々しいやんちゃな熱情性やイナセさをたぎらせた躍動感満点のアグレッシヴ攻勢や、ペッテション(ts)の結構落ち着いた品格&コクを絶やさぬ生粋ハード・バップ・タイプの滑脱ブロウ、ダーヴィドソン(tp)のキレ味シャープでビター&ドライな風合いの内側から奥深い哀愁浪漫をも垣間見せる敏捷リリカル・バッパーぶり、ダールグレーン(tb)のウォーム&ダウン・トゥ・アースなじっくりと地の底へ降りてゆくような悠然たるブルージー節、などなど、いずれも殊の外デリシャス・グルーヴィーで忘れ難いインパクトを残す充実した個人プレーの名場面が目白押し。

1. Lightsome
2. Interacting
3. Gumdrops
4. Dancing Shoes
＊all compositions and arrangement by Helge Albin

Helge Albin ヘルゲ・アルビン (alto saxophone, leader, composition, arrangement ; as solo on 1, 4)
Fredrik Davidsson フレードリク・ダーヴィドソン (trumpet, flugelhorn ; tp solo on 1)
Cennet Jönsson ケンネト・ヨンソン (soprano saxophone, tenor saxophone ; ss solo on 2)
Vincent Nilsson ヴィンセント・ニルソン (trombone ; tb solo on 3)
Inge Petersson インゲ・ペッテション (tenor saxophone ; ts solo on 3)
Peter Dahlgren ペッテル・ダールグレーン (trombone ; tb solo on 4)
Artur Tuznik アルトゥル・トゥズニク (piano ; p solo on 4)
Lennart Gruvstedt レッナールト・グルーヴステット (drums ; ds solo on 4)

Anders Gustafsson (trumpet)
Christer Gustafsson (trumpet)
Thomas Kjærgaard (trumpet, flugelhorn)
Gert-Inge Person (Persson?) (trumpet)
Göran Abelli (trombone)
Christoffer Sjögren (trombone)
André Jensen (trombone, bass-tuba)
Ulf Holmström (alto saxophone)
Peter Wilgotsson (baritone saxophone)
Patrik Albin (bass)

2021年10月10日スウェーデン VallkäratornのThe End Studios録音
(2022年スウェーデン作品)

レーベル：Prophone

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