★スペイン-バルセロナ・シーンで活躍するピアニスト:Pau Terolのトリオによる、スタンダード、先達ジャズメン曲、自作オリジナル織り交ぜた一編。
★骨太く硬質堅牢なゴツッとした岩石っぽさと、滑らかさや潤いそして透明感、が好配分で融け合った輪郭も鮮明なイキのいいタッチのピアノが、伝統的バップ・イディオムとオールド・アメリカン歌謡タイプの粋な小節のミックスであったり、モーダル・アグレッシヴに怒涛が押し寄せるようでありつつ暑苦しさは皆無のカラッとした洗練アクションであったり、或いはまた、洒脱なファンキー・テイストとしっとりした耽美性が掛け合わされた哀愁バラードであったり、など、今日のモダン・ジャズ・ピアノの一典型らしい、歌心とハードなグルーヴを併せ持ったバランス絶妙の闊達プレイをキビキビと紡いで歯切れよく華を成し、重厚にウネる肉太ベースや雷を落として回るような猛襲ドラム、らのバックアップもノリとスリルを的確に高めて頼もしく魅力を際立たせた、全編王道驀進の力強いオーソドックスな行き方が貫かれてスッキリ明快壮快に愉しませてくれる好演内容。
★硬派正統にして「歌う」感覚を決して忘れない、中々の圧倒的ダイナミズム〜迫真力を湛えた娯楽アクション活劇!風の現代ハード・バップ熱演、が溌溂と精悍げに展開され、ベース&ドラムのツボを心得た堅実な安定律動傾向と機転の利いたフェイント遊撃性を細かにクロスさせた瞬発力ある滑脱サポート、に上手く触発されながら、Pau Terol(p)の、腰を据えて伸び伸びと得意技を揮いきる感じのアドリブ奮戦が、吟醸感も充分の旨味ある冴えを見せてゴキゲンだ。
→根はメロディアス体質だが決して甘さに流されることなく結構動きの激しいビター・ドライな立ち回りフレーズを豊富に盛り込む強硬派な面も持ち、ダイナミックこの上ない突撃疾駆風の攻勢で聴く者を問答無用に圧し昂揚させたかと思えば、今度は、マッコイやハンコックに倣ったストロング&エネルギッシュな力学的モーダル・アクションがいつしかオスカー・ピーターソン似のブルージー路線に様変わりし、更にレッド・ガーランドやジーン・ハリスとかにも通じる軽妙瀟洒なファンキー・スタイルへなだれ込んだりもするという、そうした、重厚モーダル・アクティヴィティと「ファンキー」「ブルース」の両輪を身上とする弾鳴キャラのあり様は、ビシッと一本揺るぎない骨芯の通ったイメージがあって説得力も十二分。
1. The Oracle (Joey Calderazzo) 5:54
2. I Hear A Rhapsody (George Fragos - John Boyd Baker) 4:31
3. Not Yet (Pau Terol) 4:45
4. Candle Light (Pau Terol) 7:11
5. Renewal (Monty Alexander) 5:19
6. Passing Cloud (Pau Terol) 6:50
7. Speak Low (Kurt Weill) 7:03
8. El Senyor De Les Portes (Pau Terol) 5:56
9. What A Difference A Day Made (Maria Grever) 6:46
Pau Terol (piano)
Pau Lligadas (double bass)
Joan Terol (drums)
2022年スペイン作品
レーベル:
Swit
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
紙ジャケット仕様CD