★イタリアの大御所:エンリコ・ピエラヌンツィ(p)(1949年イタリアのローマ生まれ)の、本盤は、ディエゴ・ウルコラ(tp,tb)&シーマス・ブレイク(ts)をフロントに配したクインテットを率いての、2016年1月ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードでの公演の模様を捉えたライヴ音源の初ディスク化。
★スマートに整った2管アンサンブルが颯爽とファンファーレ様に旗めいた後、熱情をたぎらせてエネルギッシュに躍動する精悍なトランペットや、純バップ的渋旨さとモーダルな烈しさを交錯させつつ滑脱に咆哮するテナー、ピリッと苦味走ったハードボイルドでパッショネートな疾駆を見せるピアノ、らが雄渾のスケールと生々しいヒートアップ感満点に見せ場を競い合って、スリリング&エキサイティングにスカッと壮快な興奮やカタルシスを満喫させてくれる敢闘内容。
★今日流モード系ハード・バップの2管物、の王道を迷いなくまっしぐらに突き進んでゆく、硬派で勇猛そして軒昂な覇気がハチ切れんばかりの力強い驀進が展開され、ドラムやベースの重く分厚く揺れまくり、ウネり波打ちまくるアタッキングな猛襲スイングぶり、に頼もしく煽られながら、フロントに立つブレイク(ts)やウルコラ(tp,tb)、何げに濃い黒幕オーラを放つピエラヌンツィ(p)、らの真剣勝負で燃え盛る腰の据わったソロ・リレー合戦が白熱伯仲のただならぬ盛り上がりを呈し、また非常に密度の濃い充実した豊饒地帯を形成して、全くゴキゲンだ。
★ブレイク(ts)の、直球でブルージー・バピッシュに親しみやすい吟醸節を朗々と歌い、またある時は内なる激情がハジけるかのような猛々しい大攻勢にも転じる、何より音色そのものに宿る理屈を越えた揺るぎないスター性・輝きで聴く者を気持ちよく圧倒してくれる勇躍の様が、とりわけ傑出した華やぎを見せており、一方、ウルコラ(tp,tb)の、トランペットでは凛々しくシャープ&スピーディーな清新さみなぎる立ち回りで爽やかに魅了し、トロンボーンではおぼろな温もりを湛えながらアーシー&スモーキーにシブめの醸熟ブロウを繰り出す劇的奮戦や、ピエラヌンツィ(p)の、派手なクライマックスは概ねホーン陣に任せて自身はバックアップに回り、しかしソロ時にはいつもとはちょっと趣を違えたマッコイ寄りのアグレッシヴな「攻めた」突撃を敢行したり、かと思えば要所要所にいつも通りのピエラヌンツィらしいダーク・ポエティックな浪漫フレージング(或いはエヴァンス似の甘美節)を滑り込ませたりと、当セッションが愉しくてしようがないといった感じの表情多彩で嬉々たる余裕の活躍、といった辺りもしっかりテイスティー・グルーヴィーでインパクトも鮮烈。
1. Blue Afternoon
2. The Extra Something
3. Atoms
4. The Real You
5. Entropy
6. Song For Kenny
7. Five Plus Five
Diego Urcola (trumpet except 4, 5, 7) (trombone on 4, 5, 7)
Seamus Blake (tenor saxophone)
Enrico Pieranunzi (piano)
Ben Street (bass)
Adam Cruz (drums)
2016年1月13日&14日ニューヨークシティのThe Village Vanguardでのライヴ録音
レーベル:
Cam Jazz
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