★バークリー音大に学び、NY拠点の若手日本人精鋭団:J-Squad(Universal Musicからアルバム2作品を発表)の中心人物として大いに鳴らす他、自己単独名義でも2020年に初リーダー作「Storyteller」(Inpartmaint)をリリース、ニューヨークで暫く活動した後、最近日本へ拠点を移した現代テナーサックスの逸材:馬場智章(1992年北海道札幌市生まれ)の、今回は、西口明宏(ts,ss)との2サックス・フロントのピアノレス・カルテットによる、自作組曲を奏した入魂の一編。
★豪快な推進パワーと重厚なグルーヴをもって猛々しく突撃してゆくベース&ドラムの圧倒的けたたましさを伴った敏速大攻勢!、に上手く煽り立てられながら、イキのいいバウンド感を湛えたソリッドな団子トーンでブルースやファンクのテイストも濃厚に朗々と歌いまくる右チャンネル・テナー(馬場)の跳ね躍りっぷりと、より太く低い重圧音で野獣の如く唸り吠える左チャンネル・テナー(西口)の暴れぶり(もしくは甲高く尖った音色でスピリチュアルにさえずり鳴くソプラノの飛翔)、とが鮮やかなコントラストを描きつつ真っ向からぶつかり合い、拮抗し合って超スリリング&カラフルに力強く見せ場を飾りきった、全編ただならぬ迫真味に満ちたこってり濃い、そして生々しい熱演が横溢して問答無用に昂揚させられる中々の高密度内容。
★ファンク・グルーヴ的なアクション演奏をより泥臭く武骨な現代モーダル・バップ方向へ強引に引っ張り込んだ、とでも云えそうな、殊の外ダイナミックで荒削りかつヘヴィー・ウェイトな質実剛健のグルーヴィー敢闘が屈強に展開され、タフネスみなぎった雄々しく逞しい太々とした道程の中で、馬場(ts)と西口(ts,ss)の何げにピタリと息の合ったアンサンブル・ワークの精妙さ、コンビネーションの緊密さも光る一方、銘々が腰を据えて伸び伸びと完全燃焼するソロ・コーナーのワイルド&エネルギッシュな盛り上がりが何より鮮烈に際立って、理屈抜きでガンガン圧迫してくるその興奮の坩堝状態にひたすらフレッシュ・エキサイティングにハマらせてくれる。
★馬場(ts)の、あくまで取っ付きやすいメロディーの美とブルース(orファンク)・フィーリングを第一義として、ノリノリで歌い踊ることに徹しきったリズミカル躍動の様が爽やかに、おおらかに魅力をフル発揮して滅法清々しい青嵐の趣を呈しており、かたや西口(ts,ss)の、精悍に哀愁を歌う反面、幾分か非メロディアスなアグレッシヴ体質の叫びや咆哮といった辛口のアプローチで馬場とは好対照を成して見せる、そのダークで怪しい吹鳴キャラも巧いアクセント。
01. part I:Pieces
02. part II:T.Fest
03. Interlude (2 tenor saxophones & bass trio)
04. Introduction To Circulation (solo bass)
05. part III:Circulation
06. part IV:Lights In Black
07. Solo Interlude (solo tenor saxophone ; left channel)
08. part V:Nostalgia
09. part VI:Four Arrows
*bonus track
10. Improvisation (2 tenor saxophones duo)
馬場 智章 (tenor saxophone - right channel except 04,07)
西口 明宏 (tenor saxophone, soprano saxophone - left channel except 04)
伊藤 勇司 (bass except 07,10)
小田桐 和寛 (drums except 03,04,07,10)
2021年11月15日東京録音
レーベル:
Days of Delight
在庫有り
国内制作CD
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