CATFISH RECORDS

★トロントやモントリオールでの活動を経て英国へ渡り(2000年)、ロンドン・シーンで暫く活躍、その後カナダへ帰国し2008年以来今日までヴァンクーヴァーを拠点に活動を続け、Cellar Liveから着々とアルバムも発表して評判を上げてきたキャリア豊富なテナーサックスの逸材：スティーヴ・カルデスタッド(カナダのオンタリオ州ミシサガ市生まれ)の、今回はワンホーン・カルテットによる白熱のライヴ編。

★太く重厚でキュッと引き締まった筋骨隆々げな逞しいトーンのテナーが、勢いよく渦巻くようなハード・ドライヴ感をほとばしらせながら、哀愁とガッツに満ちたブルージー・バピッシュかつメロディアスな吟醸アクション・グルーヴの鑑!とも云うべき旨味たっぷりの滑脱咆哮を豪胆に繰り出して、スカッと壮快そして豊饒なる華を雄々しく頼もしく飾り、一方、アーシー&ファンキーな純正バップ傾向とスマートもしくは熱血なモード・テイストを的確に使い分ける歯切れよいピアノ以下、リズム隊のツボを心得た揺るぎない爆発的突進型のパワフルなサポートも、百発百中にノリを高めて確たる魅力を際立たせた、全編潔い直球勝負の行軍が貫かれて清々しく胸のすく思いの会心打内容。

★歌心とスイング感にシンプルにポイントを絞り込んだ、ひたすら明快で風通しよく開放感にも溢れたノリノリにして深く豊かな人情味に富む大衆娯楽的ハード・バップ大会、が力強く嬉々溌溂と愉しそうに、おおらかに展開され、安定安心のとことん親しみやすい鉄板コースが続く中で、カルデスタッド(ts)の、腰を据えて悔いなく伸び伸びと完全燃焼する、雄大なスケールと包容力をガッチリ有したハード・バップ・テナーのこれぞ理想形然たるアドリブ奮戦＝猛ハッスルぶりが、吹き抜ける青嵐の如く爽やかかつコクのある冴え渡り様を見せて全くゴキゲンだ。

→ロリンズやデクスター、グリフィン辺りの影をチラつかせながら、歌謡性とブルース・フィーリング(&バップ・スピリット)の泉のような潤沢芳醇この上なしの丸みあるスクリュー・ウェイヴを流麗に描いてゆくその、モード的手法を使うところも一部あるが根っこには変らず「生粋バッパー魂」が確固と脈打ち続ける、そうしたどこまでもイキでイナセで渋味ある雄渾な吹鳴のあり様は好感度抜群、説得力も絶大しかもおいしさこってりで文句なしに傑出しており、バラードにおいては結構ナイーヴで誠心こもったマイルドなロマンティスト面をも発揮する、辺りの「タフガイの優しさ」加減がまたニュアンス濃やかで絶妙。どちらかと云うと流線形的なカルデスタッド(ts)に対し、ハードに角張ったゴツゴツめな風合いの岩石群をぶつけてくる感じのゲストリン(p)の鋭さある拮抗ぶりも、コントラスト鮮やかで高得点。

1. A Few Miles From Memphis
2. Barbara
3. Equestrian Interlude
4. Con Alma
5. If You Could See Me Now
6. Invitation
7. Garden Hand Blues
8. Bolivia

Steve Kaldestad (tenor saxophone)
Chris Gestrin (piano)
Conrad Good (bass)
Jesse Cahill (drums)

2021年7月23日&24日カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーヴァーのFrankie's Jazz Clubでのライヴ録音

レーベル：Cellar Live (Cellar Music)

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見開き紙ジャケット仕様CD