★NYブルックリンを拠点に登り調子の活躍を続ける、Inner Circle Music、Concord、Word of Mouth Music、Motéma Music等よりの過去作品群も高い評価を得ていた、進取性に富む個性派女性テナーサックス奏者:メリッサ・アルダナ(1988年チリのサンティアゴ生まれ)の、ブルーノート第1弾となる今回は、ノルウェー出身の人気ギタリスト:ラーゲ・ルンドを参謀に迎えた、サリヴァン・フォートナー(p,elp)ら参加のクインテットによる一編。
★シャープ&タイトな締まりと脱力した柔らかさや丸み・ユルみが渾然一体化し、また重厚さと軽やかさが自然に表裏を成した、中々表情濃やかでニュアンスに富む生鮮トーンのテナーが、絶えずけだるく物憂いちょっと不機嫌そうな面持ちを湛えながら滑脱に、そしてダイナミックにメランコリーを活写する風なダーク&ミステリアスな躍動的プレイを流れるが如く紡いで、妖しくも詩的かつインテリジェントにクールな華を飾り、一方、潤いと爽涼感溢れる音色でブルージー・テイスティーな美味フレーズを繰り出し座を芳醇&グルーヴィーに和ませるギターや、鋭角的に尖った硬質タッチによる苦味走った精悍殺陣アクション攻勢でハードボイルド・ムードを高める毅然としたピアノ、らの助演も主役テナーと上手くコントラストを描きつつ的確に興趣を散らして見せた、全体を通じ独特のアンニュイなロマンティシズムを緩急巧みに描出する理知的アクティヴ妙演が敏活に綴られて、不思議と心地よくハマらせてくれる会心打内容。
★M-BASEファンクをよりシンプルに娯楽化したような不穏で怪しく暗いサスペンス・グルーヴ傾向と、ウェイン・ショーター辺りにも底通するちょっと不可思議で神秘的な幻夢ロマン的世界観、加えてコルトレーンの流れを汲んだアグレッシヴ&スピリチュアルなモード・ジャズの正統らしい色合い、以上を細かにミックスしたイメージの、シリアスではあるがわりかし摑みやすい哀愁リリシズムをも潤沢に備えた極めて独創的なグルーヴィー・ミステリー・サウンドが巧妙に構築されてゆき、ゆったりとうねり泳ぐが如き流麗な道程の中で、アルダナ(ts)の、一定の余裕や節度を保って悠然と波に乗る感じのアドリブ妙技が艶やかに、余情も豊かに冴え渡って素晴らしい。
→猛々しくパワフルにダイナミズムを全開させるところもあるが、どちらかと云えば今作では力を抜いた自然体調子でふんわりスイスイと宙を浮遊し遊泳してゆくような、ソフト・スムースかつレイジー・デカダンな憂いと倦怠感の漂うビタースウィート風味の翳ったリラクシング浪漫節、にこそ遺憾なく本領が発揮されている印象があって、その滑らかでデリケートな機微を多分に含んだいい意味で陰鬱な吹鳴のあり様は、何とも幽玄深く卓越しており、また、その傍らからスッと涼やかに潤いや旨味を差し挟んでくるルンド(g)のセンシティヴ技や、カツンコツンとあくまでハードにノリ&躍動感を齎すフォートナー(p)の硬派弾奏、辺りの何げに熟練した至芸も光る。
1. Falling
2. Intuition
3. Intro to Emilia
4. Emilia
5. The Bluest Eye
6. The Fool
7. Los Ojos de Chile
8. 12 Stars
Melissa Aldana (tenor saxophone)
Lage Lund (guitar, gizmos)
Sullivan Fortner (piano) (electric piano on 4, 8)
Pablo Menares (bass)
Kush Abadey (drums)
2021年5月17,18日ニューヨーク市クイーンズ区アストリアのSamurai Hotel Studios録音
レーベル:
Blue Note
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