★ハード・バップ・ピアノの伝統を重んじるオーソドックスなプレイに絶大なる支持を得てきた、ノース・フロリダ大学のジャズ科プロフェッサーでもあるアメリカのヴェテラン女性ピアニスト:リン・エリエイル(1957年ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ)の、好評だった前作「Chimes Of Freedom」と同一の顔ぶれ、即ち、イェスパー・サムセン(b)&E.J.ストリックランド(ds)との緊密トリオによる最新アルバム(通算16作目)。
★骨太く重心のしっかり据わった硬質堅固で頑強そうなストーン・タッチのピアノが、精悍で凛々しくドッシリ構えた驀進ぶりの内側から勇ましい熱情的スピリチュアリティを垣間見せたり、一転してきめ濃やかでスマート&クールなロマンティシズム表現に奥深さや軽みを発揮したり、ちょっとゴスペルっぽいところもあるイキな吟醸的ブルージー・ソウル節をおおらかに綴ってコクを滲ませたりと、徹頭徹尾ストレートアヘッドな現代ジャズ・ピアノのド真っ当コースを突き進むメロディック・スインギー・プレイを確固として揺るぎなげに繰り出して、裏も表もない超明快でひたすらテイスティー・グルーヴィーな堂々たる華を成し、一方、ベース&ドラムの中々ドスの利いたヘヴィー・ストロングにして機動性も抜群のサポートも、実に的確にノリとスリルを高めてアジな魅力を際立たせた、全編王道派ならではの安定感あるおいしい道程を大船に乗った気分で小気味よく愉しませてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感とブルース&バップ・フィーリングに潔くポイントを絞り込んだ、全き正攻法の親しみやすく歯切れのいい、輪郭も終始クッキリ鮮やかな(痛快な活劇ドラマを観るような?)大衆娯楽的行き方が溌溂と、意気軒昂に続き、サムセン(b)やストリックランド(ds)のタフ&パワフルな一点のブレも曇りもない鉄板サポート、に頼もしく支えられながら、エリエイル(p)の、硬軟併せ持ち巧まずしてバッチリ熟練した肩肘張らぬ悠然かつ泰然自若のアドリブ技が、何とも芳醇な旨味のオーラを放っていてゴキゲンだ。
→腰を据え肝を据えて豪快に突撃してゆくダイナミズム満点のモーダル&パッショネートな重厚アクションに猛々しい圧倒的気魄をほとばしらせる反面、繊細なニュアンスのこもったマイルド・ロマンティックでどこか達観したようでもある(バラード・コンセプトっぽい)哀愁描写にもこれまた奥行き豊かな妙味があり、しかも一貫して自然体の余裕ならびに一定の節度が保たれ、決して弾きすぎることなくサラリと文脈をまとめて、後には旨口の余韻が控えめにじんわり残る、という、一聴直球的でいてさりげなく雅趣にも富んだストーリーテリングの粋は、ウ〜ムさすが。
01. March On (4:59)
02. The Lights Are Always On (3:23)
03. Sisters (5:15)
04. Honor (dedicated to Lt. Colonel Alexander Vindman) (4:26)
05. Loved Ones (3:27)
06. Sounds Like America (4:43)
07. The Notorious RBG (dedicated to Ruth Bader Ginsburg) (4:47)
08. Into The Breach (4:37)
09. Walk In My Shoes (dedicated to John Lewis) (4:24)
10. Heroes (4:17)
Lynne Arriale リン・エリエイル (piano)
Jasper Somsen イェスパー・サムセン (double bass)
E.J. Strickland E.J.ストリックランド (drums)
2021年8月&9月6日アメリカ&オランダ録音
こちらで試聴できます。
レーベル:
Challenge
在庫切れ
可能な限りお取り寄せ致します
スリーブケース仕様CD