★先年惜しくも心臓発作のため83歳で亡くなった正統派ブラック・モダン・ピアノの鉄人:ハロルド・メイバーン(1936年テネシー州メンフィス生まれ、2019年ニュージャージーで死去)の、本盤は、大好評を博していた2つのライヴ作品、「The Iron Man」「Mabern Plays Mabern」と同時に録られていた、即ち、ヴィンセント・ハーリング(as)、エリック・アレクサンダー(ts)、スティーヴ・デイヴィス(tb)、ジョン・ウェバー(b)、ジョー・ファンズワース(ds)とのセクステットによる、2018年1月5,6,7日NYCのSMOKE Jazz Clubでの公演(「ジョン・コルトレーン・フェスティヴァル」として年を跨いで行なわれた21日間連続ライヴの最後の3日間)の模様を捉えたライヴ音源から、コルトレーン・ナンバーを奏したトラック群を集めたまたまたの強力アルバム。
★熱気を孕みつつ端正かつ壮大に弾き鳴らされる魂のこもった力強いピアノ以下、リズム隊の重厚で骨太く確固として安定律動するダイナミックな轟きに頼もしく導かれながら、息の合ったカラフルな重層的ホーン・アンサンブルがファンファーレの如く凛々しく勇ましく響き渡り、続いて現れる各人の腰を据えて伸び伸びと燃えに燃えるソロ・リレーがエモーショナルかつこってり芳醇に濃密な見せ場を形成、更に真打ち登場っぽく前面に躍り出てくるピアノの中々豪快でパッショネートな、悠然泰然と構えた貫禄っぽさと同時にただならぬ熱量を感じさせる意気軒昂なるソロ攻勢も、さすが醸熟にして雄渾なる揺るぎない大山の気迫をもって全体をキリッと引き締めて見せた、全編ストレートアヘッド街道のド真ん中を毅然として突き進むアツい敢闘が横溢して、スカッと昂揚させてくれる会心打内容。
★演奏スタイルとしては殊更コルトレーン流儀にこだわるでもなく、現代モード流・硬派ハード・バップの正統らしい、3管バトルならではの醍醐味、即ち圧倒的スリルや迫真性、コク旨さといった魅力的要素もテンコ盛り、加えて、これまた気力の充実しきった雄々しく猛々しい躍動ぶりを屈強に貫くメイバーン(p)の、殊の外ハイテンションなハッスルの様も鮮烈濃厚に際立って、といった具合で、一瞬たりとも耳の離せない高密度で超エキサイティングな完全燃焼のクライマックス・シーンが連続して、スケールもデカく理屈を越えた興奮と感動が途切れぬ、極めて充実した流れが創出されている。
★メイバーン(p)の、熱血苛烈な燃えまくった猛攻ダイナミズム面と、粋でイナセな歌謡性全開のファンキー・ソウルフル面、とを的確に使い分け、またはない交ぜにした男気みなぎる驀進ぶりがとりわけ傑出して元気一杯、テイスティー・グルーヴィーこの上なしの只事でない圧巻なる盛り上がりを見せている他、ハーリング(as)の、音色を適度に尖らせてアグレッシヴに、好戦的にこれでもかと突っ掛かってゆく感じの雄叫び咆哮や、アレクサンダー(ts)の、ハーリングと同じくアグレッシヴな攻撃性や疾走感を露わにする部分と、よりスムースに流れるが如くスイスイ渦巻きウェイヴを描く辺りの優しい包容力っぽさやまろやかな寛ぎ傾向といった部分、とを巧みなげに適所配置したメリハリ充分のドラマティックなストーリーテラーぶり、そしてデイヴィス(tb)の、一貫してワンポイントの余裕や節度を保ち、落ち着いた調子でじっくり地の底へ降りてゆく風なダウン・トゥ・アースなブルース色濃いスモーキー・ブロウ、などもそれぞれにしっかり濃い旨味とスター性を遺憾なく揮いきっていてまた見事。
1. Dahomey Dance (Coltrane) 7:13
2. Blue Train (Coltrane) 10:42
3. Impressions (Coltrane) 9:42
4. Dear Lord (Coltrane) 5:36
5. My Favorite Things (Rodgers & Hammerstein) 11:47
6. Naima (Coltrane) 9:09
7. Straight Street (Coltrane) 10:51
Steve Davis (trombone)
Vincent Herring (alto saxophone)
Eric Alexander (tenor saxophone)
Harold Mabern (piano)
John Webber (bass)
Joe Farnsworth (drums)
2018年1月5,6,7日ニューヨークシティのSMOKE Jazz Clubでのライヴ録音
レーベル:
Smoke Sessions
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