★上杉優との2トロンボーン・ユニット:ボン・ボーンズで評判をとり、数多くの第一線グループのサイドを務める傍ら、ボン・ボーンズやアレン・ハーマン(tb)とのコラボによるアルバム群で高い評価と人気を得てきた、女性トロンボーンの実力者:駒野逸美(1988年生まれ、千葉県白井市出身)の、本盤は、過去およそ4年に渡ってレギュラーでライヴ活動を続けてきた、片倉真由子(p)、吉田豊(b)、木村紘(ds)との鉄壁カルテットによる満を持してのアルバム第1作。
★熱っぽくアグレッシヴに突き上げてくる感じなピアノの骨太くソリッドで烈々なる重圧攻勢!、に煽られるようでもあり、と同時に悠然と構えてマイペースを保つようでもあるトロンボーンの、スモーキーな翳りや焦げみと人肌の温もりの入り交じったトーンによる、ブルースに由来した吟醸的小節と明るくおおらかな歌謡フレージングそしてバピッシュな殺陣アクション風の筆致、を絶妙のバランスで混在させ、融和させた、ハキハキさとモゴモゴさが交差し哀愁を滲ませながらちょっぴりけだるくもあるレイジー・メロディック・プレイが何とも粋で渋い、味のある華をまろやかに成した快演内容。
★歌心とスイング感を何より大切にし、インティメイトなリラクゼーションを変らず底流させた、抒情派ハード・バップの正統然たる親しみやすく気さくそうな、そしてあったかな、徹底して大衆娯楽を志向した行き方が滑脱かつ愉しげに続き、適度にエネルギッシュでパッションをほとばしらせるところもある剛腕・片倉(p)や手堅く確実着実にキッチリとグルーヴを齎す木村(ds)&吉田(b)、らのツボを心得た芸達者なサポートに頼もしく支えられ、導かれつつ、座長・駒野(tb)のどこか飄々として徒然気ままに宙を舞い、肩肘張らぬ自然体で伸び伸びと得意のブルージー小唄を軽やかに唄いきる、といった感じの、フガフガ唸るようであり程好く荒削りなところもある一貫してナイーヴ&ハートウォーミングなアドリブ妙技が、朗々にしてちょっと不透明で燻し銀的なコクのある冴え具合を見せてゴキゲンだ。
→伝統的なアメリカン歌謡のオーソドキシーに則った軽妙洒脱なメロディアス節と、極めてブルース色の濃いアーシー&ファンキーな旨味こってりのアプローチ、をごくナチュラルに、細密に掛け合わせ、バップ特有の硬派でシブい立ち回り的なダイナミズムをその根っこに置いて、トータルとしては結構豪放磊落で鷹揚そうにスケール感と包容力ある鼻唄調子の憂愁ブロウを、開放感も充分に幾分かルーズっぽく吹き放ってゆく、その、飾らない等身大の気楽さとウォームネスに貫かれた飄逸なる鳴音のあり様は、誠に風流そして芳醇で味わい格別。スクエアー・バピッシュだったりファンキー・テイスティーだったりの練達職人ぶりを見せながら、時折手癖っぽくモーダル・スピリチュアルな熱血さも思わず露呈する、片倉(p)の伸びやかなハッスルぶりもナイス。
01. Kayu Raja (駒野 逸美)
02. Lemon Balm (駒野 逸美)
03. Duke Ellington's Sound Of Love (Charles Mingus)
04. Le Buisson Ardent (bossa) (Jean Marc Jafet)
05. Dear Sumi (駒野 逸美)
06. In The Mind (駒野 逸美)
07. Chikuzenni Dilemma (駒野 逸美)
08. I Hear A Rhapsody (George Fragos,Jack Baker & Dick Gasparre)
09. Pauly (駒野 逸美)
10. はなのおか (駒野 逸美)
駒野 逸美 (trombone 作曲)
片倉 真由子 (piano)
吉田 豊 (bass)
木村 紘 (drums)
2021年日本作品
レーベル:
Somethin' Cool
在庫有り
国内制作・デジパック仕様CD
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