★スウェーデンとカナダの血をひき、米ニューヨークで活躍する若手ギタリスト:アレクサンダー・ブロットの初リーダー・アルバム。編成はバスクラリネット、ベース、ドラムとのカルテット。曲は全て本人の自作。
★ギターとバスクラのピタリと息の合ったクール・サウンド的アンサンブルが小気味よく軽やかに響鳴し、続いて、細く適度に尖ったシャープなトーンのギターが、しっとりした潤いも豊富に振りまきながら極めてバップ色の濃い殺陣風のビタースウィートなアクション・フレージングを基調とし、並行して、コードワークを活かした流麗で滑らかな寛ぎ節も随所に盛り込む、という、トータルとしては趣味よく洗練された理知的で瀟洒なイメージにスッキリ収束されるリリカル・プレイをスイスイ或いはシャキシャキ紡いで、何とも粋渋なる華を成し、一方、脱力した波乗り調子でメロウ・スムースに流線形的ウェイヴを描くバスクラのなごみブロウ(要するにレスター〜ズート系スタイルのバスクラ化っぽい感じ)や、歌心に満ち満ちたベースの温かで包容力あるアルコ弾き、といった辺りも各々バッチリおいしい魅力を際立たせた、全体を通じ軽快でノリよくもホッと安心できる深々とした憩いの気分とジェントルイズムに貫かれた極楽内容。
★ウォーム&インティメイトな和気やリラクゼーションを絶えず底流させ、親しみやすい小粋な歌心表現と敏活なスイング感醸成を第一義とした、ハイセンスでありながら大衆娯楽性も十二分な最高に心地よいラウンジ・ムードの抒情派快演、が優しく品よく滑脱に展開され、全般にモード色ならびに黒さは殆ど感じさせない、生粋ハード・バップ時代の白人インテリ勢によるシャレた寛ぎジャズ、といった雰囲気が充満する、そして1曲1曲は比較的簡潔にまとめられたテンポよき道程の中で、ブロット(g)の、徹頭徹尾ド真っ当なジャズ・ギターの伝統を重んじての洒脱で旨味あるアドリブ妙技が、中々端正に冴え渡ってゴキゲンだ。
→チャーリー・クリスチャンやバーニー・ケッセルらの流れを汲んだバップ・ギターの正統然たる、鋭角性とまろやかさを兼ね備えたダイナミックな立ち回りワザを変らず根幹に据え、時折ジミー・レイニーやジム・ホール辺りに接近した仄暗く冷涼な憂き詩情描写(或いはまたマンデル・ロウやバリー・ガルブレイス、サル・サルヴァドールとかにも通じる端麗なマイルド吟醸節)なども織り混ぜて変化をつけるが、一貫して唄性・美旋律性に主眼を置く姿勢に一切ブレるところはなく、そのアウトラインは「イナセでいてテンダーでもある」という絶妙のバランスに落ち着いている、といった巧まざる匙加減、個性のあり様が得難い魅力。バスクラをテナーサックスのように少々丸っこくマイルド・スウィートに吹くDoglioniの活躍も高得点。
1. Mosaic
2. Hopeless
3. D.S.
4. Shake
5. Milano's
6. The Aesthetic Attitude
7. Just A Moon
8. Sisyphus
9. Day Off
Stefano Doglioni (bass clarinet)
Alexander Brott (guitar)
Ari Roland (bass)
Keith Balla (drums)
2020年12月ニューヨーク州マウント・ヴァーノンのOktaven Audio Studio録音
レーベル:
Swing Alley
ALEXANDER BROTTのFACEBOOKより引用
今秋、Fresh Sound Records(傍系のSWING ALLEY)より初のリーダー作をリリースすることを発表できることを大変うれしく思います。
昨年2020年8月にニューヨークに戻って検疫中に書いたオリジナル曲がすべて入っています。パンデミック禍、住居の屋上で多くの時間を過ごし、反芻し、回想する中、多く曲想が生まれ、私のもとに降りてきました。ここでの新曲を、短期間のうちに完成し、フルアルバムに収録することを決意しました。
そして私はニューヨークにいる間、定期的に一緒に演奏するという幸運に恵まれたお気に入りのミュージシャンの何人かとレコーディングしました。バンドはバス・クラリネットにステファノ・ドグリオーニ、ベースにアリ・ローランド、ドラムにキース・バラをフィーチャーしています。彼らは皆、音楽をとても美しく解釈してくれました。
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デジパック仕様CD