★Blue Noteや当5 Passion等よりの諸作に好評を集めてきたキューバ出身の人気ピアノ名手:ゴンサロ・ルバルカバ(1963年キューバのハバナ生まれ)の、今回は、かつての師匠でもあるロン・カーター(b)(1937〜)&ジャック・ディジョネット(ds)(1942〜)という斯界のリヴィング・レジェンド=巨人二人と組んだ最強トリオによる一編。
★カキーンコキーンと鋭角なキレのある固い鳴り様を呈するストーン・タッチのピアノが、バップ・スピリット、ブルース・センス、ラテン・フィーリングを自然に掛け合わせながらの渋く翳ったビタースウィート風味の吟醸的スウィンギン・アクション節を迫力満点に、ダイナミックに綴って、硬派でイナセな堂々たる華を成し、一方、ヴォリュームもデカくバネを利かせてストロング・ドライヴィングにウネり波打つ重厚肉太なベースの躍動や、ただならぬシャープネス並びに巧緻さをもって全速力の駆け足で精確に躙り寄り、突きやパンチをカマしてくるような細密ドラムの敏捷攻勢、も各々百発百中の一撃必殺さで余裕のクリーンヒットを飛ばし、さすがの貫禄〜濃い存在感を揮いきった、全編現代メインストリーム・ジャズの本道を突き進む雄渾熱演が横溢して壮快に昂揚させてくれる、旨味と歯応え満点の敢闘内容。
★ハードボイルドな漆黒のダークネスが全体を覆い、と同時にバップやブルースに由来した安定の力学的グルーヴ感や粋渋な美味さもしっかり備わった、ストレートアヘッド流儀の鑑とも云うべき精悍凛々たる真っ向勝負のスインギー快演が、一点のブレもなく確固と展開され、カーター(b)&ディジョネット(ds)の圧倒的神がかりオーラを発しながらアタッキングに迫る猛襲にいささかも臆さず押されず、泰然自若の威風をみなぎらせてタフガイ然たる硬質ロマンの道を力強く歩み続けるルバルカバ(p)の、分厚く不屈の男気に溢れた甘くないアドリブ奮戦が、鋼の入ったような勇壮かつ堅牢な冴え渡り様を見せて、実に痛快だ。
→苦味走ったシリアスな面持ちでひたすらソリッド&ハード・スクエアーに暗影を帯びた角質的立ち回りワザを決然毅然と繰り出し通す、そのコワモテでありながら結構ブルージーな熟したウマみをも豊富に宿した半ば打楽器的とも思える殺陣っぽいダイナミズム表現は、燻し銀っぽい焦がしめのコクもこってり効いていて味わい芳醇、説得力も絶大で、また、バラードにおいてもビター・テイストを絶やすことなく半内省的な薄闇の世界を彷徨ってゆくが如き行き方を貫くノワールなアンニュイ節や、ド直球ブルース曲でのアーシー・ソウルフルな、腰を据えてじっくり地の底へ降りてゆく感じの濃厚醸造フレージング、といった辺りのスピリチュアルな妙味も格別。
1. Lagrimas Negras
2. Gypsy
3. Silver Hollow
4. Promenade
5. Novia Mia (solo piano)
6. Quite Place
7. Ahmad The Terrible
8. Siempre Maria
9. RonJackRuba
Gonzalo Rubalcaba (piano)
Ron Carter (bass except 5)
Jack DeJohnette (drums except 5)
2021年作品
楽曲解説:中村 飛鳥
レーベル:
5 Passion
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