★突出個性のフリー・インプロ派で鳴らしたアルトサックスの鬼才:柳川芳命の、長らくライフワーク的に取り組んでいるソロ演奏策戦の最新2021年録音編、=いずれも20分程の二つのソロ・インプロヴィゼーションが聴かれる。
★キュキュッと筋肉質に引き締まって厚みや堅牢さを備え、絞りやパンチも利きまくった逞しげなトーンのアルトが、スピリチュアル&アグレッシヴに猛々しく雄叫びを上げ、かと思えば力の抜けた掠れ気味の音色で繊細に哀愁を歌うバラード的アプローチに転じたりと、結構ドラマティックに起伏を描きながら一貫して熱く生々しい内なる情魂を全力で絞り出すかのような、狂おしいまでの切迫した咆哮を轟かせて雄渾なる音景色を創出した、ただならぬ興奮と感動に包まれる敢闘内容。
★時折フリーキーに音を歪ませて怪しく唸るアブストラクトな面もあるが、根底には極めて人間臭く親しみの持てるスピリチュアリティや吟醸ソウルが確固と息づき、脈々と流れ続ける、あくまで情緒性重視のパッショネート&エモーショナルなフリー・インプロヴィゼーションが、身を切るような壮絶な気魄をもって決然と展開してゆき、危ういまでの暴走性・暴力性や喧騒さとしんみりした静寂や落ち着きとが交錯する、中々予断を許さないリアル・サスペンスフルな道程の中で、誠にハイテクニックではあるが技巧に走ることなく徹底して情感を大切にした、聴く者の胸に切々とダイレクトに訴えかけてくるその「魂の叫び」が、只事でない鮮烈すぎる、こってり濃い魅力・魔力を高密度に放って、全く圧倒的だ。
→ヴァイオレントでワイルドな獣人が吠えまくるが如きこれでもか!の歪曲砲撃大攻勢で問答無用に昂揚させる一方、タフガイならではの朴訥さを垣間見せつつの憂いに満ちた吐息吹奏や、ちょっと記号的・幾何学的な不思議さ漂うシュールめの行き方、といった辺りの独特の風流ムードや含蓄深さがまた卓抜。
1. 黝む kuro-mu 19:56
2. 炎群 homura 20:33
柳川 芳命 Homei Yanagawa(Yoshinori Yanagawa) (alto saxophone)
2021年録音
レーベル:
Armageddon Nova
在庫有り
国内制作CD