★四半世紀前のCriss Cross時代(その後Imani、Palmetto、Posi-Tone、RogueArt、Smoke Sessionsなどへシフト)から首尾一貫して変らぬ陰影濃くピリリとしっかりニガい硬派魂・男気を堅持しながら、更に円熟した確たる快進撃を続けるアメリカの人気黒人ピアニスト:オリン・エヴァンス(1975年ニュージャージー州トレントン生まれ)の、今回は、先頃のBlue Noteからの初アルバムも好評だった若手アルトサックスのイマニュエル・ウィルキンスをフィーチュアした、ワンホーン・カルテットによる一編。
★陰影深く硬質で重み&厚みあるストーン・タッチのピアノが、思索性を孕みつつミステリアス&グルーミーにピリッとビターな鋭敏躍動節を綴って、絶えず凄味を湛えた濃い存在感を発散し続ける中で、フロントに立つアルトの、キュッと絞りの利いたトーンでアグレッシヴ&エネルギッシュに哀愁と熱情そして憂さを活写するダイナミック・プレイが、凛々しく精悍にテイスティー・グルーヴィーな映えを見せ、一方、簡潔に要点を切り詰めた感じなピアノのハードボイルド調のアドリブ技も威厳充分に泰然たる渋い魅力を際立たせた、全般にハードな歯応えと芳醇な旨味がバランスよく満喫できる快演内容。
★甘さは控えめのシリアスな理知性や瞑想感仄めく現代流硬派筋ポスト・バップの一典型らしい、シャープ&ソリッドで微妙に妖しくもある苦味走ったモーダル・ブルージー奏演、が滑脱敏活に展開され、ベースやドラムのツボをキッチリ心得た律動力並びにフェイント・センス抜群な半遊撃的サポートにガッチリ支えられ、また煽られながら、ウィルキンス(as)やエヴァンス(p)の腰の据わった伸びやかなインプロヴィゼーション〜ソロ合戦や掛け合いキャッチボールが、中々密度の高いタイトな盛り上がりをひたすら毅然とした調子で示して、実に颯爽としている。
★ウィルキンス(as)の、結構シビアげで辛口かつ音数多く激烈に速射砲撃的咆哮を素早く止めどなく繰り出し続ける風なパッショネート・アクション攻勢が、ただならぬ切迫した真剣味と気さくなアンちゃん的イナセさの両極端を行き来するかのような殊の外瑞々しい妙味を揮っており、かたやエヴァンス(p)の、華やかな一番手の突破口的見せ場はウィルキンスに譲り、自身は粛々と、或いは厳然と、贅肉を削ぎ落としたようなスレンダーかつ強硬堅牢な甘さのない立ち回りに終始する、基本はハンコックのハード面を踏襲した感じ(またある時はモンクに接近した風)なスクエアーで固くニガいそのダイナミック・グルーヴィー技がまた、ちょっとストイックでいて含蓄に富んだ懐深い魅力を放っていて秀逸。
1. Mynah / The Eleventh Hour (Bill Stewart / Mulgrew Miller) 13:48
2. Libra (Orrin Evans) 5:54
3. The Poor Fisherman (Immanuel Wilkins) 8:21
4. MAT-Matt (Orrin Evans) 8:04
5. Levels (Immanuel Wilkins) 9:05
6. Momma Loves (Immanuel Wilkins) 8:42
7. Dave (Orrin Evans) 3:43
Immanuel Wilkins (alto saxophone)
Orrin Evans (piano)
Vicente Archer (bass)
Bill Stewart (drums)
2020年12月11&12日ニューヨークシティのSMOKEでの録音
レーベル:
Smoke Sessions
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