★1960年代にサンフランシスコのジャズ・シーンで頭角を現し、自己のコンボやデューイ・レッドマンのサイド等で活躍するも、その後1970年代にはロックやポップス系統のフィールドへ身を投じて行った個性的ピアニスト(マルチ・キーボーディスト):ジム・ヤング(またの名をヨアヒム・ヤング)(1989年死去)の、本盤は、テナーサックス入りのカルテットによる1966年サンフランシスコ録音の初リーダー・アルバム(旧西ドイツPolydor International原盤)、の世界初CD化。
★歯切れよく硬質堅牢な鋭角的タッチのピアノの、陰影豊かで思索性も仄めく、ブルージーなスピリチュアリティに満ちた中々パッショネートかつちょっとメディテーショナルでもある躍動感一杯のバピッシュ・スウィンギン・プレイが、凛然としてシャープ&ソリッドに雄渾たる哀愁ロマンの世界を創出し、一方、重厚で野太いトーンのテナーの、ハード・ドライヴ感全開で勇猛精悍に烈々と吠えるダイナミックこの上なきアグレッシヴ咆哮も、ひたすらタフ&ワイルドに頼もしい魅力を放った、大方のところ、極めて真っ当に震動スイングするスケールも大きな正攻法熱演の連続で、スカッと昂揚させてくれる壮快内容。
★唯一の例外トラックとして冒頭の表題曲においては、アフリカン親指ピアノとチャルメラが妖しく絡むエスニック系フリーっぽいアプローチを見せて意表を衝くものの、以降の3曲では徹頭徹尾ストレートアヘッドな1960年代当時の主流派ジャズの典型然とした、モーダルなハード・バップに幾分かスピリチュアル・ジャズの要素も加味される、ワンホーン物の王道たる苦味走ったハードボイルドな直球勝負の驀進、が生々しくフレッシュな気迫とスリルをもってシャキシャキ展開されて、実にわかりやすく胸のすくような興奮並びに感動が満喫できる。
★そうした中、一座の花形を担うフリードマン(ts)の、豪快武骨で熱血さと野性味に溢れ、好もしい直情的泥臭さをも湛えながらドッシリ腰を据えて荒々しく唸り叫ぶヘヴィー・ストロングなアツいエネルギッシュ・ブロウ!、がひたすら猛々しく質実剛健の漢たる底力を遺憾なく発揮していて誠に清々しく(殊に、ただならぬ推進パワーと野獣のパッションをもってモーレツに、前のめりに全力疾走しまくる#3での燃えっぷりが圧倒的!)、一方ヤング(p)の、内に激しいものを秘めた沸騰力みなぎる情魂型のエモーショナル疾駆ワザと、より理知的で抑制の利いた結構スクエアーな殺陣の型っぽいバピッシュ・フレージング、を織り混ぜて一点のブレもなく確固と歩を進める、独特の硬さと翳ったニガみが身上の凛々しき語り口の妙も、大層渋く簡潔にして余情深き本領を悠々示しており、これまた格別だ。
1. Puzzle Box パズル・ボックス
2. Lament ラメント
3. Possibility ポシビリティ
4. Skippin' In The Rain スキッピン・イン・ザ・レイン
Bennett Friedman ベネット・フリードマン (tenor saxophone)
Jym Young ジム・ヤング (piano) (African thumb piano on 1)
Harley White ハーレイ(ハーリー?)・ホワイト (bass)
Jim Messinger ジム・メッシンジャー (drums) (Indian snake-charmer on 1)
1966年米カリフォルニア州サンフランシスコ録音
レーベル:
Muzak
*統一ライナーノーツ:片岡 文明
*オリジナル・デザインE式紙ジャケット
在庫有り
国内制作W紙ジャケット仕様CD