★過去、Gateway MusicやDouble Moonに吹き込みを残している、デンマークのキャリア豊富な女性歌手:リリー(LillyまたはLilly-Ann Hertzman)の、本盤は、イスラエル出身の人気ギタリスト:ギラッド・ヘクセルマンとのデュオによる、2015年10月コペンハーゲンで吹き込まれた一編(Gateway Music原盤)、の日本初CD化。
★メロウ・テンダーでちょっとアンニュイな風趣を醸し出すきめの細かいギターの弾鳴に導かれながら、透明感と爽涼さに溢れ、同時に優しく包み込んでくれるような人肌の温もりをも湛えたトーン高めの柔らか&まろやかなクリーン・ヴォイスによる、何より詩の情緒と旋律美を大切にしてセンシティヴに語りかけてくる感じの自然体な、それでいて巧まずブルース由来の吟醸味やスウィンギンなビート・グルーヴ感をも作為なげに表出しつつ、しっとりスッキリ清やかなそよ風を吹かせるが如きそのリリカル演唱が、ひたすら誠実真摯そうに節度と余裕を絶やさぬ端正な華を成して、実に瑞々しい感動が齎される好演内容。
★インティメイトな和気や寛ぎを底流させた、耽美性や繊細さ・機微っぽさも自ずと備える、緩急メリハリは適度につけられるもバラード・コンセプトを変らず基調としたロマンティックでニュアンスに富む穏やかな行き方が続き、ヘクセルマン(g)の、伝統的バップ小唄風の粋なリラクシング・グルーヴィーさや、ヨーロピアンな吟遊詩人体質の唯美性・エレガンス・浪漫風情、更には、アメリカン・ルーツ・ミュージック・タイプの半牧歌的フォーク・テイスト、或いは現代ファンク・ジャム路線寄りのビタースウィート&リズミカルなノリ、などを曲想・局面に応じて細かに描き分ける極めて芸達者で的確なドラマティック・プレイが、この歌風景の根底の情趣のあり様を決定づける重要な役割を担い、また誠に雅趣深く余情豊かな無双の魅力を放ち続ける(主役のヴォーカルと全く対等なブレなく骨芯の据わった立ち具合である)中で、リリー(vo)の、肩の力を抜いてゆったり伸び伸びと軽やかに波に乗るようであり、それでいて一言一言・一声一声には切実な情動が込められてしっかり気魄も感じられる、流麗ソフト・スムースにして同時にキレ&張りのある含蓄十二分の節回しが生鮮に冴え渡って、実に素敵だ。
→一つ一つの言葉や音を丁寧に噛み締めるような、柔和でデリケートな語り節っぽい優しめ・瀟洒めの唄い様を首尾一貫、基本身上として、何とも心地よくホッとなごませてくれる一方、そのマイルドな歌声にはさりげなく抑制・制御が利いていて背筋もナチュラルに伸びているシャキッとした凛々しい佇まいもそこかしこに認められ、そうした、あくまで巧まざる悠然さやリラクゼーションを保ちながらそこはかとなくイキのいい洒落たノリや旨味をも軽々と体現して見せる歌唱のあり様は、中々の研磨練達ぶりを窺わせて奥深く大いに魅惑的。
1. Tenderly
2. You Go To My Head
3. Skylark
4. First Song
5. Voice From The Mountain
6. Hvem Kan Sejle / Whistling Away The Dark
7. You're Everything
8. Day Dream
Lilly リリー (vocal)
Gilad Hekselman ギラッド・ヘクセルマン (guitar)
2015年10月20日デンマーク-コペンハーゲンのValby録音
(2017年発表作品)
レーベル:
Somethin' Cool
在庫有り
国内制作CD
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