★中学卒業と同時に地元の札幌でプロ活動を開始し、当初はロックやフュージョンを演奏、やがてジャズの道へ進み、石田幹雄トリオを皮切りに、板橋文夫トリオ、渡辺貞夫グループ、峰厚介カルテットなど、拠点も東京へ移して数々の名だたる第一線バンドで辣腕を発揮、また企画ユニット:Maziwarisや自身率いるカルテットでの演奏も精力的に推進して好評を得てきた、新世代ドラマー:竹村一哲(1989年北海道札幌市生まれ)の、そのレギュラー・カルテット(with 井上銘-g、魚返明未-p、三嶋大輝-b)によるアルバム第1作。
★シャキシャキ・キビキビ・ドシャバシャと歯切れよく跳ねのいい速射砲撃的な大攻勢をかけてくるドラムの猛襲に頼もしく捲し立てられながら、鋭く空を斬り裂くブルージーであり半ノイジーでもあるロック・フィーリング或いはファンク・ジャム感覚に満ちた好戦的ギターや、モーダル・バピッシュなストレートアヘッド街道を前のめりに突き進むテイスティー・グルーヴィーなピアノ、ドライヴ感満点の鋭利敏捷にして温もり溢れるベース、らが次々と入れ代わりカラフルかつ旨味たっぷりに座を賑わせて中々スカッと昂揚させてくれる会心打内容。
★現代流モード系ハード・バピッシュ・ジャズの一典型を示した、リズム・スタイルは今風でヴァラエティーに富みながらあくまで硬派で精悍凛々、しかもブルース・センスや哀愁の歌心も潤沢に備わった、雄渾のハードボイルド・アクション!的な程好き疾走感を伴った超威勢のいい大驀進、が嬉々溌溂と展開され、要所要所に浮かび上がっては雷神の如き情容赦ない猛り狂い様を見せる竹村(ds)の、細密にして結構コワモテそうでもある黒幕ぶり=半ゲリラティックなパンチキック遊撃、にビシビシ触発されて、井上(g)や魚返(p)の全力全霊で燃えに燃え盛るアドリブ奮戦が実にワイルドに、殊の外エキサイティングに疾風怒濤のただならぬ盛り上がりを見せて、全く圧倒的だ。
★とりわけ井上(g)の、音色も変幻自在にひたすらエネルギッシュ&アグレッシヴそしてヴァイオレントな轟音(またある時は騒音?)然とした大暴れ疾駆にイキイキ興じる、感じの鬼気迫る、また「邪」の匂いを濃厚に振りまく破壊力も抜群なロックorファンク・ジャズ寄りのモーレツ大立ち回りアタック、がグループ全体をカタギでない一種異界めいた危険な領域へ踏み込ませるのに重要な一役を買っていて何より傑出しており(もし井上がいなかったらこの作品、このグループの本質〜核たるところは恐らく成立しなかったであろうと思われる肝心カナメぶり!圧巻!)、一方魚返(p)の、真っ当なメインストリーマー肌のダイナミック・スウィンギン・スタイルを根幹とするも、井上のハッチャケぶりに負けてなるかと闘魂に火がついたか時折フリー寄りのアブストラクト&アナーキーな強硬ワザにも転じる、メリハリの利いたドラマティックな燃焼具合もこれまた壮快。
1. 村雨
2. もず
3. A
4. Black Bats And Poles
5. RM
6. Spiral Dance
7. Lost Visions
井上 銘 (guitar)
魚返 明未(オガエリ アミ) (piano)
三嶋 大輝 (bass)
竹村 一哲 (drums)
2021年2月9日,10日東京 録音
レーベル:
Days of Delight
在庫有り
国内制作CD