CATFISH RECORDS

★お馴染みロフト派ブラック・スピリチュアル・テナーの横綱：デヴィッド・マレイ(1955年米カリフォルニア州オークランド生まれ)の、本盤は、ジョン・ヒックス(p)、レジー・ワークマン(b)、エド・ブラックウェル(ds)という強力な布陣のカルテットによる、1983年9月NYCのヴァンガード・スタジオで吹き込まれた傑作(伊Black Saint原盤)、のCD化・新装再発(限定)版。

★締まり〜筋肉質っぽさと滑らかさや丸みが自然に共存した、味わい豊かで弾性に富む野太いテイスティー・トーンのテナーが、腰を据えて伸び伸びと、朗々と哀歓を歌い、また烈しく雄叫びを上げ大暴れするところもある、一貫して取っ付きやすい人情味とポジティヴなガッツに溢れた熱血メロディック咆哮を猛々しく轟き渡らせてスカッと壮快に華を成し、一方、硬質で厚みある岩石様の強堅アタック!をガンガンぶつけてくるピアノの砲撃も頼もしげに昂揚効果・捲し立て効果を発揮した、全体を通じ奔放苛烈な妥協なき大立ち回り攻勢で圧倒するも結構清々しく晴れやかな情動の様がダイレクトに伝わってきて、旨味も十二分にイイ気分で興奮させられる会心打内容。

★過激でワイルド&ヴァイオレントな大攻勢を掛けてくる局面もあるが、あくまで調性の枠内でわかりやすくハートフルに躍動するモード系ハード・バップの正統らしい極めてストレートアヘッドな活劇娯楽指向の硬派勇壮スウィンギン熱演、がおおらかな開放感を伴いながら嬉々溌溂と展開され、捨て身の体当たりで容赦なくぶつかってくる風な真剣勝負アクションのただならぬ気迫〜怒涛の嵐っぽさと、明朗平易な歌心や漆黒の美味なるブルース・フィーリング、とが一体となった誠に芳醇で血沸き肉躍る道程の中、ブラックウェル(ds)のドコドコ・バシャバシャと四方八方からゲリラ遊撃をカマしてくる強行突進や、ワークマン(b)の強烈にバネとウネりを利かせてじっくり唄うハード・ドライヴィングなスピリチュアル弾技、といった辺りも中々凄まじい濃さで悠々座をさらい、しかしこれに負けじとマレイ(ts)もドッシリ重心を据えつつ猛烈ハッスルしまくる悔いなき完全燃焼ぶりで、花形主役の座をその圧倒的存在感をもって堂々死守しきっており、実に鮮麗、実にゴキゲンだ。

→ロリンズ辺りの流れを汲んだハード・ドライヴ感一杯で渦巻きウェイヴを描くが如きマイルド・ブルージー節や、より急速テンポで全力疾走する半シーツ・オブ・サウンド風の速射砲弾的な激発咆哮(しかしそれは決してコルトレーン調にはならず、どちらかと云えばヴォン・フリーマンとかにも通じるような独特の粘着的ヨタヨタ感やネバネバっぽさが多分に漂っているところが殊の外ユニークで魅惑的!)など、豪快武骨にしてばっちりハイテクニックな「マレイ節」が唸りに唸り、冴えに冴え渡っていて全く見事。例えばエリック・ドルフィーが半アブストラクトな速吹きインプロをカマす時にはそのアナーキーな破壊力や混沌さ・乱脈さの反面、ドルフィー独自の規則正しい言語配列＝ドルフィー語が厳然と息づいているのにも似て、ここでのマレイも激烈な爆発の中にちゃんとしっかり彼一流のマレイ語が既にこの時点でブレなく堅持されている＝確立されている(録音時マレイは28歳)、辺りがやはりさすが。

1. モーニング・ソング
2. 身も心も (tenor saxophone & piano duo)
3. ライト・ブルー・フローリック
4. ジターバグ・ワルツ
5. オフ・シーズン
6. デュエット (tenor saxophone & drums duo)

David Murray デヴィッド・マレイ (tenor saxophone except 4) (bass clarinet on 4)
John Hicks ジョン・ヒックス (piano except 6)
Reggie Workman レジー・ワークマン (bass except 2, 6)
Ed Blackwell エド・ブラックウェル (drums except 2)

1983年9月25日,26日,30日ニューヨークシティのVanguard Studios録音
*原盤：Black Saint BSR 0075

レーベル：Solid ウルトラ・ヴァイヴ(Ultra-Vybe) (Black Saint原盤)

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