★ベーシストでもあるイタリアの実力派女性歌手(本作ではヴォーカルに専念):クラウディア・ザンノーニのヴィーナスでの2作目、=今回はマッシモ・ファラオ(p)率いるカルテットに絢爛豪華なストリングス・オーケストラを加えた体制による一編。
★荘厳壮麗でチェンバー・ムーディーな奥行きの深いストリングスの調べに優しく導かれながら、澄んだクリーンさ・透明感や爽涼な潤いを湛えた折り目正しくきめの細かい、そして重心のしっかり安定したトーンやや高めのクーリッシュ・ヴォイスが、一語一語・一声一声に丹念に情感を込めて終始柔和な風合いでしっとりと語りかけてくるような、それでいて軽妙にリズムに乗ってブルージーな吟醸テイストや脱力感〜瀟洒さも巧まずナチュラルに漂わせる、という、入れ込み様と抜け具合が絶妙のバランスで並立した中々包容力豊かなリリカル歌唱を誠実真摯そうに紡いで、瑞々しくも美味さ溢れるシャレた華を成す。
★これにピタリと寄り添ってスクエアーな硬質感あるバップ・アクションやイキなファンキー節を繰り出し的確に香味っぽいアクセントを形作るピアノ、更にはイナセでこってりテイスティー・グルーヴィーなギター、らの活躍もバッチリ渋旨なる魅力を際立たせた、全体を通じ趣味のいいエレガンスに貫かれたサロン風の音空間にひたすら心地よく浸りきれる好演内容。
★バラードを基調としながらミディアム・テンポで小気味よくスイングする快活めの趣向も適所に盛り込まれて上手く変化・メリハリがつけられる、トータルとしては洒脱なセンスのよさ(洒落っ気)や節度の保たれた、インティメイトでメロウ・ムーディーな行き方が続き、親しみやすくも気品に富みゆったりとした快適さ・悠々気分の絶えない道程の中で、ザンノーニ(vo)の、白人系抒情派ジャズ・ヴォーカルの伝統に深く確固と根を下ろした、徹底して謙虚そうで素直な優しさ一杯の歌い回しが実に爽やかに、かつ行間余情も十二分に軽々冴え渡ってゴキゲンだ。
→原曲の本質を決して損なうことなくあくまで歌詞の情緒とメロディーの美を一つ一つ慈しむような、真心こもったテンダー&センシティヴな唄い様、そのごく平易明快に切々と語るが如き寛ぎ節は何とも小粋であり感動的で、テンポのあるスウィンギンな局面における、より勇ましさ・ノリノリ感を増したブルージー・バピッシュ・フレージングの旨味濃やかさも含め、一貫して背筋の伸びた凛々しげイメージと肩の力の抜けた軽み、そして極めて気さくげな取っ付きやすさ(=庶民派娯楽性?)を自然に堅持した歌声は、大層風流で好感度抜群、説得力も絶大。カキンコキンと鋭角的にダイナミック・アタックしてくるファラオ(p)の生粋バッパーぶりもこの上なく粋渋で高得点。
1. アイ・フォール・イン・ラブ・トゥー・イージリー
2. オールド・カントリー
3. アイム・ゴナ・ラフ・ユー・ライト・アウト・オブ・マイ・ライフ
4. サニーがブルーになる時
5. マスカレード・イズ・オーバー
6. セイブ・ユア・ラブ・フォー・ミー
7. ゲス・フー・アイ・ソー・トゥデイ
8. ファースト・タイム・オン・ア・フェリス・ウィール
9. アイル・ビ・シーイング・ユー
Claudia Zannoni (vocal)
Massimo Farao (piano)
Davide Palladin (guitar)
Nicola Barbon (bass)
Roberto 'Bobo' Facchinetti (drums)
Arrigoni's Strings Orchestra
- Bruno Cesselli (arrangement, conduct)
2020年12月19日,20日イタリア-バッサーノ・デル・グラッパ(Bassano Del Grappa)のArt Music Studio録音
レーベル:
ヴィーナスレコード
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国内制作CD