★オーネット・コールマンやキース・ジャレットらとのコラボで知られる突出個性派・尖鋭派の黒人テナーサックス名手:デューイ・レッドマン(1931年米テキサス州フォートワース生まれ、2006年NYブルックリンで死去)の、本盤は、ワンホーン(一部、ベースがクラリネットに転じて2ホーンになるところもある)・カルテットを率いての、1966年1月米サンフランシスコでライヴ録音された初リーダー・アルバム(Fontana原盤)、のCD化・新装再発版。
★少々荒削りに力強く熱っぽくノリにノるリズム・セクションのダイナミック・スウィンギンな豪快轟鳴に触発されながら、キュッと引き締まった隆々さと丸っこいユルみを兼備したテナーが、ブルージーなブラック・スピリチュアリティ溢れる朗々歌謡節であったり、アグレッシヴでアブストラクトな大暴れ咆哮であったり、ちょっとダル&レイジーにクダを巻くような半頽廃的吹奏であったりの、一貫して生々しい人間臭さを湛えた漆黒吟醸プレイを何やら珍妙なる唸りヴォーカルも細切れに交えながら滑脱に紡いで、悠々堂々とテイスティー・グルーヴィーな華を成し、一方、情魂味こってりでドライヴ感溢れるベースや、リズミカル&パーカッシヴに溌溂と舞い躍るドラム、バップ&ブルース(&モード)の旨味を歯切れよく振りまく情熱みなぎったピアノ、らの(曲によってはこれまたアジなウナり歌ヴォイスを発しつつの)ホットな活躍も頼もしげにグルーヴ感やコクっぽさを高めた、全体を通じ60年代ブラック・スピリチュアル・ジャズの醍醐味をバッチリ濃厚に満喫させてくれる充実内容。
★妖しい情念渦巻く黒人系フリー・ジャズらしい激烈路線を基調とするも、結構バピッシュなシブい美味さ溢れる正統的モード・ジャズ・スタイルも一部に盛り込まれてイキにイナセに盛り上がるところもある、終始エモーショナルでパッショネートな偽りなき人情味を感じさせる熱血アクション敢闘が精悍軒昂に展開され、リズム隊の中々荒々しく攻勢を掛けてくる猛襲ぶりに上手くプッシュされて、レッドマン(ts)の、緩急自在で縦横無尽に空間を駆け巡る一撃必殺のアドリブ奮戦が、実に鮮やかに冴え渡って清々しい。
→半ばフリーキー&ヴァイオレントに吠えまくり絶叫するスピリチュアル・フリー派の権化然とした(ちょっとコルトレーン的でもある)爆裂燃焼ぶりで、気魄も満点に聴く者を圧倒し、かと思えば抑制を利かせて穏やかに哀愁ロマンを歌い上げる黒いバラード・プレイがまたジンワリ胸に迫るものがあって絶品だったりと、その誠に表情多彩で何より音色そのものの芳醇さや切実な人間らしさにこそ魅力の真髄がある、とも思える豪放磊落な(それでいてどこか飄々とした趣があったりもする)吹鳴のあり様は、ガッチリ懐広くて理屈を越えた卓抜なる説得力を帯びている。見事。
1. 黒い星を探せ
2. エルドンに
3. 動機の瞬間
4. セヴン・アンド・ワン
5. オヴ・ラヴ
Dewey Redman デューイ・レッドマン (tenor saxophone)
Jim Young (Jymm Young / Joachim Young) ジム・ヤング (piano)
Donald Garrett ドナルド・ギャレット (bass, clarinet)
Eddie Moore エディ・ムーア (drums)
1966年1月4日サンフランシスコでのライヴ録音
(原盤:Fontana 888 311 ZY)
レーベル:
Muzak
*統一ライナーノーツ:片岡 文明
*オリジナル・デザインE式紙ジャケット
在庫有り
国内制作・紙ジャケット仕様CD