★当時はともに二十代の新鋭だった、トランペッター:近藤等則(1948年生まれ、愛媛県今治市出身、2020年神奈川県川崎市で死去)とドラマー:土取利行(1950年香川県生まれ)というフリー派の逸材コンビのデュオによる、1973年新宿ピットイン・ティールームでの即興ライヴの模様を捉えた未発表レコーディング(音源はプライヴェートなカセットテープ)、の初ディスク化。
★けたたましくも執拗に絨毯爆撃っぽく雷を落として回るようなドラムの、ヴァイオレントで屈強な速射大攻勢と、これまた頑強不屈にノイジー&アブストラクトな荒々しい雄叫びを上げ続けるトランペットの激烈咆哮、とが各々一歩も引かぬ獰猛なまでのぶつかり合いを見せて超スリリング&超エキサイティングな怒濤の盛り上がりを呈したかと思えば、一転して慎重に抑制を利かせたトランペットが、異形でシュールではあるがバラード的なニュアンスをも感じさせる落ち着いたリリカルなブロウを繰り出し、これにドラムも呼応してじわりじわりと躙り寄るような練り上げられたサスペンスフルな蠢きに推移、しかしやがてはまた激しさや奇怪さを増して抽象純度の高いリアル・フリー・インプロの小競り合いへと突入してゆき、情感を排した妥協なき雑色カオス音響実験の修羅場となっていったりと、全く予断を許さない一種異様な超ハイテンションさ・生々しさに貫かれたタフすぎ・パワフルすぎの即興対決が横溢して、その圧倒的迫真力で聴く者を蹂躙(?)し、大いに昂揚させてくれる敢闘内容。
★緩急柔剛のメリハリは適度につけられるが、どちらかと云えば暴圧的とも云える二匹の野獣が猛りまくりで激突する容赦ない敏速アクション・バトル、に本領があり、そうした強靱剛健この上なき爆裂攻撃態勢の中で、近藤(tp)の、時折スピリチュアルな抒情性を垣間見せるところもあるが、あくまで最終的な到達点は「無秩序」「混沌」といった感じの、徹底的にピリ辛で甘さのないダーク&シャープな硬質吠え唸りアタック!や、土取(ds)の、四方八方からドシャバシャ迫る喧騒遊撃を基本身上とする一方で、近藤の動向をじっくり睨みつつ結構細かな機微のこもった表情豊かな滑脱リアクションを見せたりもする、何げに懐の深いドラマティックな役者ぶり、などがこってり濃密に堪能できて、気分はすこぶるフレッシュ・スリリングでいて満腹感も格別だ。
1. インプロヴィゼーション 1 (13:13)
2. インプロヴィゼーション 2 (20:29)
3. インプロヴィゼーション 3 (13:58)
近藤 等則 (trumpet)
土取 利行 (drums)
1973年新宿ピットイン・ティールームでのライヴ録音
レーベル:
立光学舎
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