CATFISH RECORDS

★十全に年季を積みながら依然フレッシュなトンガり具合に揺らぐところのない、尖鋭派アルトサックスの重鎮：ティム・バーン(1954年ニューヨーク州シラキュース生まれ)の、今回は、自身率いるベースレス編成のレギュラー・カルテット：Snakeoilによる、2017年12月コネチカット州ニューヘイヴン、2010年6月NYブルックリン、2009年11月NYブルックリン、の3つのライヴ音源をまとめた2枚組の強力盤。

★変幻自在・神出鬼没にゲリラティックな絨毯爆撃を仕掛けてくるドラムの敏速で怪しい轟鳴や、鋭角的でパーカッシヴな硬質アタックをカマすピアノのキレのある転がりワザ、に中々猛烈にプッシュされながら、フリーキー・トーン交じりで不屈に精悍軒昂なる咆哮を繰り出すタフネスみなぎったアルト、並びに、飄々と滑脱スムースにメビウスの輪を描き続けるかの如き結構端麗なバスクラ(またはＢ♭クラ)、らの吹奏がダーク・ミステリアスに深層の闇をえぐってゆくような妖奇な華を成し、かと思えば、アブストラクトでありリズミカル・グルーヴィーでもあるピアノやヴィブラフォンの奮戦が前面に躍り出てクール・テイスティーに見せ場を飾ったり、落ち着いた不思議なポエティック・ロマン風情と激烈でアグレッシヴ&アナーキーな極めて純度の高い抽象型リアル・フリー・インプロ大攻勢とが刻々細かに錯綜したりと、決して予断を許さないカラフル&超スリリングな粉骨砕身の立ち回りが連続して、大いに清々しく昂揚させてくれる敢闘内容。

★コンポジション演奏らしい十全に練り上げられた構成意匠の妙やハーモニーの美、或いはまた一種のファンク物っぽい舞踏的(またある時は幾何学的)グルーヴ感、といった要素を際立たせるわりかし整然とした魅力と、迫真白熱のフリー・インプロヴィゼーション大会が悔いなく完全燃焼で盛り上がりに盛り上がる、異形でビザールな殊の外生々しい混沌状態、とが意外にすんなりと並立共存した、ピリ辛テイストのシリアス&ノワールな、それでいて抵抗なくスイスイ流れ進む感じの潤滑さを伴ってのハードコア熱演、が圧倒的気魄をみなぎらせてある時はけたたましく喧騒に、またある時はゆったりとサスペンスフルに展開。

★そうした中、バーンの作編曲面での現代感覚にも富んだスマートな理知的妙味もキラリと光る一方で、一切手加減なく水を得た魚のようにひたすらイキイキと飛び跳ね躍り泳ぎまくる、もしくは狂おしく猛獣の如く絶叫しまくるバーン(as)の、ただならぬ切迫感を爆裂させながらの即興至芸(さすが!無双!)や、リキみの抜けた遊泳感覚と身を絞り切るような怒濤の全力吠えor嘶きを的確に使い分けるNoriega(bcl,Bb-cl)の、メリハリの利いたドラマティックな堂々の語り口、といった高純度かつ高密度なインプロの醍醐味も圧倒的に充実している。見事。

Disc 1：
1. Perception 18:34
2. Moornoats 16:36
3. Seven 10:49
4. Deception 16:32

Disc 2：
1. OCDC 16:54
2. Spare/Citta' 19:52
3. Scanners 06:26
4. Hemphill 21:25

*all music by Tim Berne (Party Music BMI)
except "Hemphill" by Julius Hemphill
(Subito Music / Tim Berne Party Music BMI)

Tim Berne (alto saxophone)
Oscar Noriega (bass clarinet, Bb clarinet)
Matt Mitchell (piano)
Ches Smith (drums, percussion, vibraphone)

Disc 1：2017年12月1日コネチカット州ニューヘイヴンのFirehouse 12でのライヴ録音
Disc 2-#1,#2,#3：2010年6月15日NYブルックリンのIBEAMでのライヴ録音
Disc 2-#4：2009年11月21日NYブルックリンのRouletteでのライヴ録音

レーベル：Intakt

在庫有り
2枚組(三つ折り紙ジャケット仕様)CD