CATFISH RECORDS

★大学在学中に明田川荘之トリオで演奏活動を始め、その後、植松孝夫グループ、小田切一巳グループなどに在籍、同郷の寺下誠とともにハロルド・ランドと共演したり、ドナルド・ベイリーやロレツ・アレクサンドリアとも共演、板橋文夫、ネイティブ・サン、本田竹曠、大西順子らともコラボし、ここ四半世紀の間は大石学トリオの屋台骨を強力に支え続けてきた、キャリア47年余となるヴェテラン・ベーシスト：米木康志(1952年北海道函館市生まれ)の、満を持しての初リーダー・アルバム、＝大石学(p)＆則武諒(ds)という大石トリオのレギュラー・メンバーそのままを率いての、山梨のペンション月下草舎でのライヴ・レコーディング編。

★重心も低く腰を据えて重低音をじっくりときめ濃やかに、弾力的にヒットしアタックする肉太ベースの、ニュアンスに富み温かな歌心に溢れた丹念で切々としたダイナミズム&グルーヴ表現も、思わずほっこりさせられるハートフルな魅力を放ち続ける中で、端正で精緻かつ歯切れよく硬質堅牢でもあるストーン・タッチのピアノが、これまた丁寧に情感の機微をこめたマイルド・メロディック&バピッシュ・スインギーなリリカル指向プレイを滑脱に、そしてセンシティヴに紡いで何とも瑞々しく爽やかな絵を飾った、全般に、巧まざる自然体の息遣いをもってさりげなく密度の高い浪漫詩情の世界が優しく描き出される、さすがの充実内容。

★スロー・テンポやミディアム・テンポを概ねメインとした、寛ぎバラード的コンセプト濃くも適所に硬派敏活なスウィンギン・ハード・バップ趣向もキッチリ盛り込まれる、一貫してインティメイトな和み感を横たえつつの、程好くメリハリがあって飽きのこない、三楽器の音一つ一つから妙なる清新味も伝わってくる繊細な抒情派演奏、が実に淑やかに展開され、全編を通じて米木(b)の、バッキング時であろうとソロ・パートであろうと繰り出されるサウンドは十全に考え抜かれた信念と真心のしっかり宿る、デリケートにしてハード・ドライヴィングなその鳴動が殊の外ハートウォーミングかつグルーヴィーに謙虚さ・誠実さ&包容力満点の熟成オーラを立ち昇らせて、終始ついついうっとりさせられっぱなしな、一瞬も耳の離せない蠱惑性すら感じさせる道程の上で、花形役:大石(p)の、いつもの通り上品で節度があって大層細やかな、それでいて自身のリーダー作の時に比べるとより伸び伸びリラックスし砕けた趣もある、ロマンティック&エレガントなアドリブ妙技が中々悠然と冴え渡って素晴らしい。

→例によって、エヴァンスを基点としながら心象情緒の襞を慎重に掬い取ってゆくような独特の微妙なデリカシーやしっとり感、そしてクール・スウィートな風合い〜甘美さがより強化された、たおやかに流れるが如き語り口はここでも絶好調で、更に加えて、モーダル・ハード・バップの王道を突き進むちょっとハンコック・ライクなダイナミック・アクションや、ファンキー語法を使った軽妙なイナセ節、といった辺りのド真っ当ワザの粋なキレもまた格別だ。

1. Bonny Blue (米木 康志)
2. Chelsea Bridge (Billy Strayhorn)
3. World Peace (Harold Land)
4. SIRIUS シリウス (米木 康志)
5. Day Dream (Billy Strayhorn)
6. 夢色のノスタルジア (米木 さきく)
7. CX (米木 さきく)
8. あそびましょ (米木 康志)
9. SIRIUS (Solo) シリウス (Solo) (米木 康志) (solo bass)

*special thanks for
●夢色のノスタルジア
named by Naoshi Yoshida
●あそびましょ
arranged by Mamoru Ishida

米木 康志 Yasushi Yoneki (bass)
大石 学 Manabu Ohishi (piano except 9)
則武 諒 Ryo Noritake (drums except 9)

2020年9月25日ペンション月下草舎(山梨県北杜市小淵沢町)でのライヴ録音

レーベル：月下草舎

在庫有り
国内制作デジパック仕様CD