CATFISH RECORDS

★米西海岸シーンで活躍し、自己のレーベルからリーダー・アルバムも多数リリースしてきた、明るく誠実な芸風を身上とするオーソドックス志向のヴェテラン・ピアニスト：ジョージ・カーンの、今回はギター入りカルテットによる一編。

★爽涼な潤いやクリーンな透明感を湛え、また歯切れのいい鋭角的感触や堅牢さをも備えた、水晶を思わせる澄んだクリアー・タッチのピアノが、親しみやすいキャッチー&マイルドな歌謡傾向に溢れ、かつ伝統的なバップやファンキー系統の言語マナーも自然に息づかせた、軽やかでノリよく余裕と節度ある小粋筋っぽいメロディック・プレイを敏活滑脱に紡いで、美味しさ抜群のシャレた華を成し、一方、コクの効いた安定感&厚み(&張り)あるトーンで渋い吟醸的バピッシュ技を粛々と繰り出すギターの活躍も、ガッチリ頼もしく芳醇な彩りを添えた、全編ひたすら明快真っ当な人情肌演奏の連続で小気味よくもハートウォーミングになごませてくれる、ホッと安心の好演内容。

★インティメイトな和気あいあいの寛ぎを変らず底流させ、歌心とスイング感のストレートな体現に潔くポイントを絞り込んだ、今日らしく一部リズミカルでポップなグルーヴ調スタイルもあるものの、基本はあくまで、わりかしオールド・ファッションな純正ハード・バップ形式に乗せた一種の「歌謡インスト」的な、ブルース色もしっかり濃い大衆娯楽指向の躍動的リリカル路線快演、が確固と根幹を成しており、どこまでも取っ付きやすく旨味たっぷりの軽妙瀟洒なセンスよき「ジェントルマンの小唄セッション」、風行き方が好テンポで進行し、大いにほっこり愉しめる。

★ベース&ドラムの巧緻で手堅い職人芸的サポートに温かく支えられながら、カーン(p)の、陰影深いシブめのダイナミックなバップ・イディオムと、洒脱で趣味のいいアメリカン伝統派ならではの実によく唄う美旋律フレージング(加えて要所要所で結構イナセなファンキー・ソウルフル節とかも)、を嬉々溌剌と融け合わせてゆくその、一音一音に丁寧に誠心が込められ、しかも決して弾きすぎることなく簡潔に文脈をまとめ上げて、後には何ともイキで風流な余韻が残る、という、そうした腹八分目にして含蓄豊かで懐の深いさすが十全に熟成された語り口の粋が、終始チョチョイのチョイと事も無く冴え渡っていて、ウ〜ム見事。クリスチャン〜ケッセル系の燻し銀的バップ・スタイルとウェス型のホットなオクターヴ奏法を掛け合わせ、時折コンテンポラリーなアプローチにも転じるケリー(g)の助演も、誠に的確でナイス・テイスティー。

01. I Feel Pretty
02. Just One Of Those Things
03. You And The Night And The Music
04. Never Let Me Go (solo piano)
05. One Fine Thing
06. DreamCatcher
07. Going Baroque
08. Stardust (p & b duo)
09. Tonight
10. Eva
11. Don't Let Me Be Lonely Tonight
12. Quarantuni Time

George Kahn (piano)
Pat Kelley (guitar except 04, 08)
David Hughes (bass except 04)
Alex Acuna (drums except 04, 08)

2020年1月4日,7月8日Alex Acuna Studios録音

レーベル：Playing Records (George Kahnの自主レーベル)

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三つ折り紙ジャケット仕様CD