★ニューヨークでの10年に渡る活躍を経て2014年に帰国し、以来、J-Jazz主流派シーン第一線で精力的に活動、NY時代にJazz Lab.からコンボ2作品、帰国後はセルフ・プロデュースのオーケストラ作品を発表して好評を得ていた他、大西順子セクステットやCUGジャズ・オーケストラ、平麻美子の歌伴等でも遺憾なく個性と辣腕を揮いきってきた、オリジナリティある現代トランペットの逸材:広瀬未来(1984年生まれ、神戸出身)の、今回は、ヴェテラン名手の山口真文(ts,ss)や多方面で快進撃中の剛腕女傑:片倉真由子(p)ら強者揃いのクインテットを率いての勝負作。
★俊敏で歯切れよくもドス(&フェイント)の利いたリズム・セクションの重厚感あるダイナミズム攻勢、に頼もしく導かれながら、フロント2管の、息が合っていながら適度に粗くほぐれた風合いもある豪快なアンサンブルが精悍凛然と轟き、続いて、眩い光輝っぽさとスモーキーなくすみや濁りを混在させたトーンのトランペットが、ピリッとした程好くビターでハードボイルドな雄々しき速射砲撃的アクションを炸裂させて壮快に華を成し、また、強靱げで肉太くも温もり感あるテナーの、激しさやエネルギッシュさの中にも絶えず一定の余裕並びに節度を保持した躍動的な滑脱ジェントル・ブロウ、そして、固く骨芯の通ったクリアー・タッチで、落ち着いた陰影ある思索ムードとアグレッシヴな熱情型の攻撃性や疾走感を巧みに交差させるピアノの劇的立ち働き、といった辺りもしっかり味わい濃厚に彩りを添え、魅力を際立たせた、全編を通じ極めてストレートアヘッドな真っ向勝負敢闘の連続で清々しく昂揚させてくれる会心打内容。
★苦味走った硬派で勇壮な、かつ歌心にも事欠かない、内に猛々しさを秘めた威風堂々たる真っ当筋のモーダル・ハード・バップ熱演が、意気軒昂そうに展開され、安定律動力抜群にして機略縦横でもあるリズム隊のフレキシブルな遊撃型サポートに上手く触発され、鼓舞されて、一座の花形:広瀬(tp,flh)のポジティヴな気合のこもった、背筋にはピーンと一本鋼が通っているかのような眼光も鋭げな漢たるソリッド・ダイナミック・ブロウ!〜王道を突き進むアドリブ奮戦が、毅然としていながら融通無碍っぽくもある余白充分の中々懐深い冴えを見せて、素晴らしい。
→モード色を適宜加味しつつバップ・トランペットの伝統に揺るぎなく根を下ろした、締まりある厳しい表情の機敏速攻的立ち回り咆哮(時にハバード風だったり時にマイルスっぽかったり・・・)をキビキビ・テキパキとシャープに紡いで雄渾に魅了する反面、バラードや歌物などではよりまろやかな端麗メロディーを実に丁寧に優しく唄って深々と和ませてもくれる、という、その元気溌剌でいて一貫してワンポイントの余力を残した感じの、勇ましくも奥行き豊かな吹鳴のあり様は美味さ格別、説得力も絶大で、一方、山口(ts,ss)の、スケール大きくタフ&パワフルしかも終始悠々と構えた熟成度満点の、波乗りに興じるが如き活躍も、さすが超芳醇そして結構風流で好インパクト。
1. The Golden Mask - dedicated to “Tower of the Sun”
2. September in the Rain
3. Moonrise
4. Orange Osmanthus
5. You're My Everything
6. Three Birds
7. Triennium
8. Days of Wine and Roses (tp-p duo)
広瀬 未来 (trumpet, flugelhorn)
山口 真文 (tenor saxophone on 1, 2, 3, 5, 6) (soprano saxophone on 4, 7)
片倉 真由子 (piano)
中林 薫平 (bass except 8)
山田 玲 (drums except 8)
2020年3月16日東京録音
レーベル:
Days of Delight
在庫有り
国内制作CD
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