★もうすぐ80歳を迎える益々意気軒昂な正統派ハード・バップ・トランペットのヴェテラン大御所:エディー・ヘンダーソン(1940年ニューヨークシティ生まれ)の、Smoke Sessionsからの3作目となる今盤は、前作:「Be Cool」とはベーシストのみチェンジした、ケニー・バロン(p)やドナルド・ハリソン(as)らとの2管クインテットによる快調編。
★歯切れよくシャキシャキと跳ね躍るような抜群にハジきのいいリズム・セクションの、鋭敏闊達この上なきスウィンギン攻勢、にシカと支えられ、また突き煽られながら、息の合ったフロント2管の雄々しく勇ましいアンサンブル吹鳴がファンファーレの如く精悍凛然と旗めき、続いて、激烈な猛攻アクション時にあっても常に泰然自若の余裕っぽさや品格を絶やさない懐の深そうなトランペット、アグレッシヴにブオブオと攻めまくるアルト、滑脱で威勢よくもワンポイントのゆとりを残したブルージー&スピリチュアルなピアノ、らのソロ・リレー合戦が圧倒的迫真力と濃い旨味をもって鮮烈な盛り上がりを見せてゆく、おいしさ満点、歯応えも充分のスカッと壮快な敢闘内容。
★徹頭徹尾ストレートアヘッドな、現代流モード系ハード・バップの王道ド真ん中を迷わず驀進する、硬派勇猛にして歌心も潤沢に備わった活劇エンタテインメントの鑑!たる正々堂々の躍動的直球スインギー熱演、が実にイキイキと展開され、ヘンダーソン(tp)以下銘々の、気力も充実しきったエネルギッシュ&エモーショナルでしかも悠々とした余白や余韻を残す風なアドリブ活躍が、極めて高密度かつ含蓄ある豊饒ぶりを呈して、全くゴキゲンだ。とりわけヘンダーソン(tp)の、キレ味シャープで奔放苛烈な攻めた大立ち回り咆哮や、バラードでの非常に繊細でマイルド・テンダーな耽美的ロマンティストぶりなど、中々表情多彩に、劇的に起伏メリハリを描いてゆくも、その鳴音には一貫してある種の節度っぽさや気品〜エレガンスがしっかり脈打っており、そうした、熟練者ならではの巧まずして爆発力と抑制的感覚とがごく自然に同居した響鳴のあり様は、誠にドラマティックで微細なニュアンスにも富んでおり、白眉。
★一方、ダーク・スモーキーだったりファンキー・ソウルフルだったりと幾分かやんちゃげにキビキビ立ち働くハリソン(as)や、包容力たっぷりの名バイプレイヤーぶりに徹したバロン(p)、らの助演もそれぞれに的確そしてすこぶるデリシャスで好インパクト。
01. Shuffle And Deal (Eddie Henderson) 5:30
02. Flight Path (Kenny Barron) 5:15
03. Over The Rainbow (Harold Arlen / Yip Harburg) 8:11 (tp-p-b-ds quartet)
04. By Any Means (Cava Menzies) 3:15
05. Cook's Bay (Kenny Barron) 7:19
06. It Might As Well Be Spring (Richard Rodgers / Oscar Hammerstein II) 9:22
07. Boom (Natsuko Henderson) 4:03
08. God Bless The Child (Billie Holiday & Arthur Herzog Jr.) 6:53
09. Burnin' (Donald Harrison) 4:56
10. Smile (Charlie Chaplin) 4:13 (tp & p duo)
Eddie Henderson (trumpet)
Donald Harrison (alto saxophone except 03, 10)
Kenny Barron (piano)
Gerald Cannon (bass except 10)
Mike Clark (drums except 10)
2019年12月5日ニューヨークシティのSear Sound Studio C録音
レーベル:
Smoke Sessions
在庫有り
デジパック仕様CD