★シンシナティ→ニューヨークでの活動を経て、2004年にはシカゴに本拠を落ち着け、以来同地のライヴ・シーンで精力的に活躍、人気女性歌手:ペトラ・ヴァン・ナウスの相方として卓抜なプレイを聴かせていた他、String DamperやDelmarkからアジなリーダー・アルバムを発表して好評を得てきた、モダン・ギターの類稀な実力者:アンディー・ブラウン(1975年ニューヨークシティ生まれ)の、今回はソロ・ギターによる一編。
★きめ濃やかでシャープな張りがあり、また潤いや清涼感にも富んだ折り目正しい美味トーンのギターが、基本はチャーリー・クリスチャン〜バーニー・ケッセルの系譜上にあり、時折タル・ファーロウ辺りの影もチラつく正統的バップ・スタイルを根幹としながら、並行して、軽妙小粋な唄センスや寛ぎ色、更には現代感覚溢れる耽美的ロマンティシズム傾向、また一部ではブラジリアン・ボッサ調のサウダージ・テイスト、といった要素も加味して、流麗滑脱に歩を進めるあくまでメロディック&グルーヴィーなセンスよき抒情派プレイ、を紡いで、何とも小気味よくアジな華を悠々成した快演内容。
★歌心とスイング感を何より大切にした、アメリカン瀟洒筋バップ・ギターの伝統にしっかりと深く根を下ろすごく親しみやすい、そしてスイスイ波に乗るような軽やかなノリのよさも満点の、幾分かメロウな和み感〜リラクゼーションを底流させつつのイキで小洒落たラウンジ・ムード漂う明快娯楽指向の行き方が、優しくも溌剌と陽気に、かつマイルド・テンダーに(加えてちょっぴりクールに)テンポよく続き、力強いドライヴ感とキャッチーな歌謡フィーリングに確固と貫かれたその何げに練達なる語り口は、聴く者を程好く豪快に活き活きノセてくれ、同時にホッと温かに憩わせてもくれる余情豊かな魅力に溢れており、ひたすら居心地よくて全く見事。
→肩肘張らない自然体調子で徹底してオーソドックス、徹底して定番王道な旨口節をテキパキと簡潔に、余裕と節度をもって軽々紡ぎながら、巧まずして風流な余韻も仄かに残してゆく、という、そうした、昔気質の渋い吟醸味と今日的な瑞々しく若々しい清新さとが(作為なしに)極めてナチュラルに融和した鳴音のあり様は、聴いていて決してそれと意識させない磨き抜かれた精緻なハイ・テクニックにもバッチリ裏打ちされて、「これぞ洒脱の権化」とも云える得難い煌きを見せており、実に素敵だ。
01. ルック・フォー・ザ・シルヴァー・ライニング
02. ビリンバウ
03. 愛のテーマ from ブレード・ランナー
04. ソフト・ウインズ
05. ザ・ジプシー
06. リトル・ホワイト・ライズ
07. イフ
08. ザ・ラヴァーン・ウォーク
09. ロリポップス・アンド・ローゼズ
10. ブルー・サンバ
11. ザ・ベスト・シング・フォー・ユー
12. ぼくが知ってるあのこと
13. 果てしない愛
14. わが故郷のサンバ
15. ベレヴィル
Andy Brown アンディー・ブラウン (solo guitar)
2020年シカゴ録音
*使用ギター:Gibson Tal Farlow model 1965
レーベル:
Muzak
在庫有り
国内制作 見開き紙ジャケット仕様CD