★カナダ-ヴァンクーヴァーのシーンで30年以上に渡り活躍してきた、スタンリー・タレンティン(タレンタイン)の影響大とも云われる正統派テナーサックスの逸材:ジェリー・クックの、ピアノ(クリス・ゲストリン)、ベース、ドラムとのワンホーン・カルテットを基本に3曲ではギターも加わっての一編。
★分厚くズッシリ重みがあって好もしい臭みも湛えた剛健武骨そうな雄大トーンのテナーが、腰を据えて伸び伸びと豪快にひたすら大きく歌い、大きくスイングする、ハード・ドライヴィングでパンチの利いたダウン・トゥ・アースこの上なき醸熟咆哮を悠々轟かせて、実に頼もしい、タフ&テイスティーな濃い口の華を成し、一方、硬質鋭角でハードボイルド、時にファンキーなメリハリの利いたピアノや、熱気を孕んだブルース・テイストの強いギター、らも各々しっかり鮮烈に彩りを添えた、全体を通じわりかし昔気質なオーソドックス・スタイルを貫いた行き方で、安心して味わい深く愉しませてくれる会心打内容。
★歌心とスイング感そして伝統的なブルース&バップのフィーリング、に徹底して重点を絞り込んだ(潔し!)、バラードやブルースも頻出するわりかしインティメイトな寛ぎめ路線が中心の「生粋ハード・バップ」型快演(但しラスト1曲は結構モーダル・スピリチュアルで適宜幅のあるところも見せる)、がイキイキとおおらかに、かつハートウォーミングに綴られ、一貫して気さくそうな大衆娯楽性に支配された抒情味満点のごく親しみやすい滑脱コースの中で、クック(ts)の、純正ハード・バッパー&天性のメロディストになりきって揺るぎない、また一片も悔いを残さない朗々たる吠えっぷり・唄い泳ぎっぷりがスケールもデカく泰然と冴え渡って、実にゴキゲンだ。
→男臭く泥臭い吟醸的アーシー・ソウルに満ち満ちた、黒さも際立つレイジー・スモーキー&ダイナミックな極太の渦巻き吹奏を変らず基本身上とするも、そのブローイングには豪放磊落で逞しくブラックなブルース由来のコクや雄渾たる懐の深さ、を濃厚に宿す反面、実際の本人がそうであるように「現代の白人ミュージシャン」らしい洗練味やスマートネスor流線的スムースさも自ずと備わっており、そうした、屈強で質実な武勇さは非常に顕著なものの上手い加減でアクの抜けた鳴音のあり様は、聴いていて誠に心地よく好感度も抜群。概ね生粋ハード・バップ・スタイルで真っ向から押しまくるクック(ts)に対して、モード色も多々加味した劇的立ち働きで凛然毅然と変化をつけてくるゲストリン(p)の精悍敢闘や、アーシー・ブルージーなイナセ肌の躍動節とクール・メロウな仄暗い耽美フレージングを的確に使い分けるSikula(g)、らの助演もおいしく光る。
01. Walk In The Park
02. Lazy Days
03. Smile
04. Soul Eyes
05. Hello My Lovely
06. Scarlet Ribbons
07. Summertime
08. Cook's Blues
09. Georgia On My Mind
10. Nature's Lament
Jerry Cook (tenor saxophone)
Chris Gestrin (piano)
John Lee (bass)
Jesse Cahill (drums)
*guest:
Dave Sikula (guitar on 02, 05, 08)
2019年10月1日カナダ-ブリティッシュ・コロンビア州ヴァンクーヴァーのWarehouse Studios録音
レーベル:
Cellar Music (Cellar Live)
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見開き紙ジャケット仕様CD