★Amosaya、Sharp Nine、MaxJazz、Vega、HighNoteよりの諸作品に確たる支持を集めてきた、元々ニューヨーカーだが現在はアメリカを離れ、オーストリアを本拠とする(地元グラーツ音楽大学で教鞭をとっている)もNYへも頻繁に戻るなどグローバルなライヴ・ツアーにも益々精を出している、ピアノ弾き語りの人気女性歌手:ディーナ・ディローズ(1966年ニューヨーク州ビンガムトン生まれ)の、4年ぶりのニュー・アルバムとなる今作は、マーティン・ウィンド(b)&マット・ウィルソン(ds)との鉄壁トリオを軸に、シーラ・ジョーダン(vo)、ヒューストン・パーソン(ts)、ジェレミー・ペルト(tp)という強力ゲスト陣も次々迎えての一編。
★潤いや澄んだ清潔感とコクっぽい熟したウマみを混在させた、風格や貫祿をも感じさせる中音域(ちょっと高めか)のクリーン・ヴォイスによる、歌詞&メロディーを大切にした基本は抒情指向ながら、同時にダイナミックなグルーヴやブルース由来の渋くてイキな吟醸テイストもごく自然に体現して見せる、さすがさりげなく磨き上げられた懐の深いドラマティックな演唱が一点のブレもない、堂々たる存在感をもって華を成し、また、硬派でブルージー・バピッシュな正攻法のピアノ・プレイ始め、インスト面の鋭敏でスリリングな凛とした鳴動具合も迫真性満点に結構濃い魅力を際立たせた、全般に歯切れよくノリノリでありながら思わずホッと安心できる温もりや和気も潤沢に味わえる充実内容。
★インティメイトな優しいリラクゼーションと、背筋も伸びたシャキシャキ・キビキビした快活スウィンギンさ、の並立する、正統的リリカル・ハード・バップ・スタイルに乗せた軽妙瀟洒な小気味のいいラウンジ小唄セッション風の行き方、が一定のゆとりを堅持しつつ愉しげに続き、ディローズの、洒脱さやソフィスティケートさに溢れる反面、ハジけるようなパッションやわりかし熱いエモーションも巧まずチラつかせた、細かなニュアンスや機智に富む独自の歌い回しがあくまで悠然と冴え渡って素晴らしい。
→テンポのある躍動的な局面にあっては、軽みやウィットっぽさ・小粋さと力強くパンチの利いたダイナミズム(一部スキャット技もあり)を飄々と自在に交差させ、バラードでは、テンダー・ロマンティックな耽美性やスウィートネスと内に秘めた情熱っぽさや力強い心象の激動ぶりとを細密に描き分ける、しかも全体を通じてその根底にはブルースの旨味がしっかりと息づいている、という、そうした、アメリカン抒情派ジャズ・ヴォーカルの伝統に深く揺るぎなく根を下ろした語り口の粋は、ハートウォーミング&グルーヴィーそして実に芳醇で全く見事。
★加えて、高齢(録音時90歳!)を感じさせぬキュート&超絶ハイテクニカルなジョーダン(vo)、イキのいいイナセなハード・バッパーぶりに徹したペルト(tp)、レイジー・スモーキーで好もしいユルさを振りまく醸熟のパーソン(ts)、と、ゲスト陣の活躍も極めて快調。
01. Ode To The Road
02. Nothing Like You
03. Don't Ask Why
04. All God's Chillun Got Rhythm / Little Willie Leaps
05. That Second Look
06. Small Day Tomorrow
07. The Way We Were
08. Cross Me Off Your List
09. I Have The Feeling I've Been Here Before
10. A Tip Of The Hat
11. The Days Of Wine And Roses
Dena DeRose (vocal, piano)
Martin Wind (bass)
Matt Wilson (drums)
Sheila Jordan (vocal on 04, 06)
Houston Person (tenor saxophone on 07, 11)
Jeremy Pelt (trumpet on 02, 08)
2019年10月1日&2日ニュージャージー州ティーネックのTeaneck Sound録音
レーベル:
HighNote
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