★益々意気盛んな躍進続く、お馴染み抒情派にして個性派な現代ピアノの人気才媛:西山瞳(1979年大阪府生まれ)の、20作目のアルバムとなる本盤は、好評だった「Crossing」(2013年)以来の(セルフ・プロデュースによる)ソロ・ピアノ集・第2弾。曲は全て自身のオリジナルでさりげなく決然と勝負。
★輪郭もクッキリしたキレのいい硬質さや鋭角さと、清流の如きまろやかで澄んだ潤いや滑らかさ、を併せ持ち、また透明感と深い陰影とが表裏一体化した、ニュアンスに富む端正なクリスタル・タッチのピアノが、エレガントでありダイナミックでもある、哀愁浪漫に溢れた半内省的かつ劇的なリリカル・プレイを中々慎重神妙に、誠心こめつつ作法正しくもノリよく明晰さをもって紡ぎ、圧倒的に瑞々しい感動と究極の美がゆったりしっとりと齎される、真摯でひたむきな、そして非常に密度の高い、気合もワザも充実しきった好演内容。
★アンニュイでメランコリックな心象風景の移ろいを濃やかにスケッチしてゆくような内向型のアプローチと、より開放的でおおらかな牧歌詩人風の闊歩ぶり、とを的確自在に使い分け、また融和させながらの、バラード的コンセプトを概ね基調とした一音たりとも無駄のない渾身の妙演が展開され、1曲1曲はそう長すぎず程好い尺にまとめられ、またリズムやテンポにも上手く変化がつけられて適宜メリハリの利いた、荘厳でありながら結構小気味よくもある道程の中で、西山瞳ならではの、仄暗い物憂さやメディテーショナルなテイスト(〜私小説っぽさや秘めやかなプライヴェート感?)と、巧まざる美メロの宝庫たる流れるような筆の滑らせ様、とが伸び伸びとフル発揮された卓抜なるアドリブ至芸が、実に鮮麗に冴え渡って素晴らしい。
★ピエラヌンツィ辺りに底通する一定のダークネスやニガみを含んだヨーロピアン・タイプの耽美傾向と、西山独自のファンタジック&ロマネスクなスピリチュアリティが細かに掛け合わされた、一音一音に幽遠なる哀感や涙の趣を宿すその弾鳴のあり様は、ちょっと儚げに煌くような、清新にして妖しい蠱惑性さえ漂う唯一無二の魅力があって、絶品。粛然たる思いです。
1. Empathy 4:25
2. Vibrant 3:52
3. Recollection 5:31
4. Until The Quiet Comes 5:03
5. To The North 5:13
6. Hand In Hand 4:09
7. Behind The Door 5:12
8. Snow Train 5:50
9. I'm Missing You 4:37
※all compositions by Hitomi Nishiyama
西山 瞳 Hitomi Nishiyama (piano)
(*plays Fazioli F212)
2020年1月14日 東京・渋谷ホール録音
レーベル:
Meantone
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見開き紙ジャケット仕様/国内制作CD