★ヘルシンキのシベリウス・アカデミー(音楽大学)に学んだ(修士課程を卒業)後、渡米し、デイヴ・リーブマンに師事、ジェリー・バーガンジィやボブ・ミンツァーらにもレッスンを受け、その後帰国して、UMOジャズ・オーケストラのレギュラーを数年間務め、また自己のコンボを率いては50カ国を越えるグローバルな精力的ライヴ活動を行なってきた、教育者としても多忙な早ヴェテランの域に入るフィンランドのアルト(&ソプラノ)サックスの実力者:ペッカ・プルッカネン(1964年生まれ)。
★今作は、
伊ローマへ乗り込み、ロベルト・タレンツィ(p)らイタリアの精鋭陣と組んだカルテットに、終盤3曲ではトランペットのトップ・スター:ファブリッツィオ・ボッソも加わってくる体制での、入魂の一編。
★締まりと丸みが絶妙に一体化した、しなやかな伸張力を示す旨味もたっぷりの精悍げトーンのアルトが、中々苦味走ったダイナミック&バピッシュ・グルーヴィーな凛然たるアクション・プレイを滑脱に繰り出し続けて、硬派で雄々しくピリッとしたハードボイルドっぽい華を成し、一方、ソリッド&スクエアーな抑えを利かせた殺陣風の堅牢フレーズとブルース色濃い粋でイナセな吟醸的歌いっぷり、とを的確自在に交錯させ、或いは融け合わせる、鋭角的キレのよさに富んだピアノのメリハリあるドラマティック弾奏も、鮮やかにツボにハマッておいしい彩りを添えた、全般に剛健でいてしっかりデリシャスな味わい充分の会心打内容。
★概ね、毅然として背筋は伸びていながら渋旨なテイストや歌傾向も自ずと備える、モーダル&ブルージーな正統的シリアス筋のポスト・バップ熱演、がイキイキと軒昂に展開され、リズム隊の、安定律動性と瞬発力や遊撃性の双方に長けたノリノリにしてフレッシュ・スリリングなサポートにガッチリ支えられ、また煽られながら、プルッカネン(as)の、甘さを殺して結構男臭くも憂き思索性を匂わせつつの、流麗であり爆たるパンチも利いた気迫みなぎる躍動的咆哮が、堂々のスター性も煌かせてタフ&シャープに颯爽と見せ場を飾ってゆく。
→ジャッキー・マクリーンやフィル・ウッズの硬質面を受け継いだかのような、終始やや険しく厳かに引き締まった表情でビターかつアグレッシヴな、スパイス感と頭脳性仄めく真剣勝負の立ち回りブロウ、をひたすら勇猛に炸裂させるその吹鳴のあり様は、実に頼もしくイカしており、かたやタレンツィ(p)の「モーダル・スピリチュアル」と「ファンキー・テイスティー」を上手く併合した劇的立ち働き、更にはまた、後半に登場するボッソ(tp)の、奔放苛烈で変幻自在、それでいて極めてオーソドックスな美味さを決して失わない、しかもどこか飄々とした軽みある真性ハード・バッパーぶり(ボッソが入ってくると音空間のトータル・イメージが一気にウキウキ・モード全開な娯楽活劇的ハード・バップらしくなるところも痛快)、といった辺りも、巧まずしてプルッカネンと好コントラストを成しており、各々魅力満点だ。
1. Alma (5:10)
2. Sometimes It Rains On Sundays (6:49)
3. Harajuku (7:42)
4. Short Lullaby (7:55)
5. Roadside Bougainvillea (6:22)
6. Old School (5:53)*
7. Nu Blu (5:57)*
8. Ocean Between (6:54)*
Pekka Pylkkanen (alto saxophone except 8) (soprano saxophone on 8)
Roberto Tarenzi (piano)
Francesco Puglisi (bass)
Marco Valeri (drums)
*guest:
Fabrizio Bosso (trumpet on 6, 7, 8)
2018年イタリア-ローマのロアディストリクト・スタジオ録音
2020年作品
レーベル:
Challenge
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