★Bernd SuchlandとPatrick Braunという2人のテナーサックス奏者を双リーダーとし、独ベルリンのシーンで活動を続けている2テナー・フロントのクインテット:The Toughest Tenors、のサード・アルバム。
★ピタリと息が合っていながら幾分かレイジーでダルな風合いもあったりする、2テナーの重層的アンサンブルが味わい豊かに轟き渡った後、テナー両名各々の、こってりソウルフルで適度に泥臭く武骨だったり、スモーキーでけだるいリラクゼーションに溢れていたり、などの腰も据わった泰然自若たるソロ・プレイが豪快かつハートフルに座を華やがせ、一方、歯切れよくシャキッとして硬質鋭敏なバップ・アクション技をキビキビ繰り出すピアノの凛々しき立ち働きも、テナー陣とは上手く好対照を成しつつアジな彩りを添えた、全編理屈抜きでノリノリかつスカッと壮快な活劇エンタテインメント世界が旨味たっぷりに堪能できる中々の濃密内容。
★歌心、スイング感、ブルース・テイスト、に潔くポイントを絞り込んだ風な、ややオールド・ファッションな純正ハード・バップ・タイプの大衆娯楽路線を貫くノリにノッたダイナミック驀進、が嬉々として愉しげに展開され、リズム隊のきっちりツボを押さえつつ表情多彩に力強くも小気味よく安定スイングしまくるプロフェッショナルな鉄板サポート、に頼もしく支えられ、プッシュされながら、テナー両雄の、気さくな人情味に満ちた飾らない下町演芸会のようでもある、和気あいあいにして溌剌なバトル・リレーや掛け合いキャッチボールがひたすら晴れやか&おおらかに超芳醇なる大豊作ぶりを見せて、誠にゴキゲンだ。
★雄々しくイナセに熱血パッションや吟醸ソウルがハジけるような、ちょっとホンカー系に接近した感じのシブ勇ましい吠えワザや、しんみり切々と哀愁歌謡の深淵へ降りてゆくが如きメロウ&ナイーヴそして朴訥としたタフガイの憂歌(泣き節?)的なバラード表現、或いはまた、凛然と背筋を伸ばしハード・ドライヴ感全開で颯爽と渦巻きスクリュー・アタック!風に突撃疾駆する速射砲撃的必殺咆哮など、そうした、テナー陣の吹き抜ける青嵐を思わせる「待ってました!」の練達名人芸の冴え具合(並びにその懐の深さ)は全く鮮やかで、加えて、ソリッド&スクエアーな殺陣っぽい鋭角的立ち回りと、寛ぎ小唄感覚溢れる軽妙ファンキー節、とを的確自在に使い分けるMatthies(p)の助演も◎。
01. Nice & Easy
02. Star Eyes
03. Scram
04. Melba's Mood
05. Last Train From Overbrook
06. Why Was I Born
07. Idle Moments
08. Tubby
09. All Through The Night
10. That's All
Bernd Suchland (tenor saxophone)
Patrick Braun (tenor saxophone)
Dan-Robin Matthies (piano)
Lars Guhlcke (bass)
Ralf Ruh (drums)
2018年11月ドイツ-ベルリンのGreve Studios録音(2019年ドイツ作品)
レーベル:
Octason
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在庫有り
三つ折りデジパック仕様CD