★アヴィシャイ・コーエン(b)・トリオのレギュラーとして大いに英才&個性を揮い、高い評価を得てきたアゼルバイジャン出身のピアニスト:エルチン・シリノフ(英ロンドン在住?)の、本盤は、トリオによる従来基本的には配信オンリーだった2018年作品(CD版は本人の自主製作によるライヴ会場での手売りのみで、一般流通はしていなかった)の、国内盤CD化。
★折り目正しくきららかに光沢を放ち、また清涼感や潤いをきめ濃やかに立ち昇らせるかのような、澄んだ水晶を思わせる端正なタッチのピアノが、耽美的でロマンティックな哀愁のリリカル・フレージング或いはダイナミック&リズミカルなノリのいいモーダル・バピッシュ節に、独特のエキゾティックなフレイヴァーを仄かに(もしくはよりはっきりと明瞭に)まぶし込んだが如き、機動性ある唯一無二のスピリチュアル・プレイを滑脱に紡いで、全く新しい、瑞々しさ抜群の輝きをキラリと放った快投内容。
★今日流らしくリズム・スタイルは適宜ヴァラエティーに富んだ、歌心=メロディーの美と弾むようなグルーヴ=ノリのよさを何より大切にしての、躍動型抒情派的な現代版モード系端麗バップ奏演、が闊達に展開され、ベース&ドラムの安定した律動力と意表を衝く遊撃性を併せ持った中々自在なサポートに、上手くノセられ、刺激されながら、シリノフ(p)の、極めてメロディアスな憂歌風の取っ付きやすさ・分かりやすさを決して絶やすことなく、誠にユニークなエスニック・テイストやフォーキー・スピリチュアリティをもごく自然に並立させた、あくまでリアル・バップ・ジャズの枠内でそうした特異な個性を軽々フル発揮して見せる異国情緒充分のアドリブ妙演が、抜群の生鮮度をもってロマネスクに冴え渡っており、見事。
→特有の瞑想感や祈りっぽさ或いは民謡色を漂わせつつの半バラード的なちょっと物悲しい浪漫表現や、ストレートアヘッドなバップ系統のダイナミズムと一種の情念めいたエキゾティズムをドッキングさせて、結構荘厳深遠な民族舞踏儀式とも云うべき趣を醸し出す、しっかりグルーヴィーなアクション型のアプローチなど、他に例を見ない独創的な手練のワザが次々と繰り出されて、聴く者には超フレッシュなスリルや驚きと昂揚、そして感動が途切れることがない。
1. Sara Gellin
2. Waiting
3. Durna
4. Missing
5. Waltz From Seven Beauties Ballet
6. Muse
7. O Olmasin Bu Olsun
Elchin Shirinov (piano)
Andrea Di Biase (double bass)
Dave Hamblett (drums)
英国-カーディフ=CardiffのFieldgate Studio録音
2018年作品
レーベル:
Somethin' Cool
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国内盤CD