★当初は同郷のBehn Gillece(vib)とのコンビ(双頭コンボ)で、ハード・バップの伝統に深く根を下ろした人情味溢れる娯楽指向の諸作に確かな支持を集め、その後、自己単独のグループを率いるようになり続々と気合の入った作品群を発表、芸幅も着実に広げてきた、ニューヨーク主流派シーン最前線で15年来活躍し一貫してPosi-Toneに吹き込みを続ける、正統派テナーサックスの類稀な実力者:ケン・ファウザー(1982年生まれ フィラデルフィア出身)の、本盤は、過去にも度々組んできたジョシュ・ブリュノー(tp)との2管フロントに海野雅威(p)も加わったクインテットによる、全曲自身のオリジナルで固めた勝負作、=アルバム全体が故ハロルド・メイバーンに捧げられている。
★鋭く引き締まったしなやかな伸張性やキレと、まろやかなソフトネスや弾力感、を表裏一体に併せ持った何とも味のあるトーンのテナーが、あくまで力は八分目以下に抑えつつ、スイスイと抵抗なく滑らかに波に乗るようなスムース・ドライヴィングかつどこまでもメロディックな遊泳歌謡っぽい明朗ブロウ、を悠々と繰り出し続けて、シブ清々しく晴れ晴れとしたおいしさ格別の華を成し、一方、ピリッとしたシャープなスパイス感とマイルドでおおらかな和み色または牧歌性を的確に使い分ける中々精緻なトランペットや、ソリッド&スクエアーに硬派でイナセな王道まっしぐらの鋭角的ブルージー・バップ・アクションを律儀げにぶつけてくるピアノ、らの活躍も確固たる揺るぎなく濃い存在感並びに旨味を頼もしく放った、一貫して正々堂々真っ向勝負の連続で気持ちよくノセられる安心の好演内容。
★歌心とスイング感に潔くポイントを絞り込んだような、ブルース感覚にも富み適度に現代色も加味された(基本は結構オールド・ファッション気質)全き正攻法のハード・バップ大会、が嬉々溌剌と展開され、みなぎる精悍軒昂さと同時にわりかし和気あいあいそうなインティメイトさやリラクゼーションも絶やさぬ、誠に心地よい道程の中で、各人の陽気で朗らかにハッスルしきったイキのいいソロ合戦が、スカッと胸のすくような爽やかな盛り上がりを見せる(加えて、フロント2管のアンサンブルも勇ましく風に旗めくようで好もしい美味アクセントとなっている!)が、中でもやはりファウザー(ts)の、自然体で流れるようによく歌う滑脱なアドリブ妙技が、傑出してフレッシュ・ハートフル&テイスティー・グルーヴィーに颯爽と冴え渡っていて素晴らしい。
→座長であり、楽曲も全て自身の自作でありながら微塵も気負ったところなどなく、全編を通じて肩の力の抜けたレイドバック感や余裕そして節度を巧まずキープしたその、根は純正ハード・バッパー体質(→モーダルな場面でさえ生粋ハード・バップ的な情趣が漂う)の実に端正で優しい、しかも終始ゆったり伸び伸びとした包容力ある(流線形的な)吹鳴のあり様は、聴き心地よさ抜群で説得力も絶大だ。
01. Moving Forward
02. Three For Leathers
03. In The Blue
04. Seventy Sixers
05. This That & The Other Thing
06. Morning Light
07. That Was Then
08. The Instigator
09. Without Saying
10. Firefly
11. Vitamin E
Ken Fowser (tenor saxophone)
Josh Bruneau (trumpet)
Tadataka Unno 海野 雅威 (piano)
Vince Dupont (bass)
Joe Strasser (drums)
2019年9月26日NYブルックリンのAcoustic Recording録音
レーベル:
Posi-Tone
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見開き紙ジャケット仕様CD