★益々意気軒昂な躍進の続く、親しみやすくも独創性溢れる芸風が好感度絶大な現代ピアノの人気才媛:栗林すみれ(1986年生まれ)の、今回は、
2018年10月から2019年9月にかけて、計5回のセッションで録り溜められた、満を持してのソロ・ピアノ・アルバム。マスタリングはステーファノ・アメーリオが担当。
★透明感や潤いに富んだ、端正で流麗なタッチのピアノが、エレガント&ロマンティックでありながらフォークやゴスペルにも通じる芳醇なブルース・テイスト、牧歌性、スピリチュアリティといった要素も多分によぎらせつつのメロディック・プレイで、優しく感動的な詩情世界を一音一音にしっかり誠心こめて丹念に紡ぎ上げてゆく、全体を通じゆったりと心地よくも晴れやか&温かな「うららか気分」「ほっこり気分」に瑞々しく包まれる爽快内容。
★概ねバラードを基調としたノーブルでいてごく親しみやすい、歌心最重視のしっとり感溢れる抒情指向の行き方がきめ濃やかに展開され、時には鋭角に凹凸を表す殺陣風の骨太いアクションを炸裂させて硬質的スリルやダイナミズムを強化したり、フォーキー・ブルージーなおおらかムードの節回しでちょっとファンキーっぽい粋筋の吟醸味を振りまいたり、などの転回も見せて上手くメリハリをつけるが、トータルとしてはやはり、極めてスウィート・テンダーで超センシティヴな機微を感じさせる馨しき浪漫派のアプローチ、が根幹となっていて、その柔和で甘美な端麗典雅さ格別の音空間にひたすら快適に浸らせてくれる。
★1曲1曲は長すぎず適宜簡潔にまとめられ、肩の力の抜けた、しかし実に丁寧で一つ一つの音を慎重に選び抜いてじっくり鳴動させる、といった感じの、魂のこもった無駄なく何げに高密度な、ただならぬ集中力の渾身妙演が連続して、聴く者を明るくポジティヴに感動させてくれ、後には何とも生鮮で清やかな、そよ吹く涼風の如き余韻が残る、という、フレッシュでありつつ既に確固と熟達した語り口の粋は全く見事。
01. Nameless Piano (栗林 すみれ)
02. Cow Daisy (Jesse Van Ruller)
03. Believe, Beleft, Below (Esbjorn Svensson)
04. Nel Col Più Non Mi Sento (Giovanni Paisiello)
05. I'll Be Seeing You (Sammy Fain)
06. Improvisation "Colored Woods" (inspired by Kaii Higashiyama) (栗林 すみれ)
07. Improvisation "Piangere" (栗林 すみれ)
08. Ship (Giovanni Scasciamacchia)
09. A Lovely Way To Spend An Evening (Jimmy McHugh)
10. Edelweiss (Richard Rodgers)
栗林 すみれ Sumire Kuribayashi (piano) (voice on 01)
01, 02, 06-10:
2019年2月13日,14日,8月18日,9月18日録音
(plays Yamaha S400B)
03-05:
2018年10月27日北海道 Rankoshi Palm Hall録音
(plays Yamaha C7)
レーベル:
Somethin' Cool
解説(推薦文):行方 均
在庫有り
スリーヴ・ケース仕様CD