★1950年代末期からプロ活動を行い、王立デンマーク大学に学びながら、ディキシー、スイング、ハード・バップ系のバンドで演奏、やがて1960年代には放送局のビッグ・バンドや幅広いスタジオ・ワークもこなすようになり、並行して地元(コペンハーゲン)のクラブで来訪したアメリカのビッグ・ネーム陣と数多く共演し高い評価を獲得、ズートとロリンズを掛け合わせ、デクスターやB・ウェブスターらの語法も適宜ブレンドしたような、単純明快で親しみやすいハートウォーミングな芸風・作風に長らく根強い人気を博しつつ、コンスタントなペースで新作リリースを続けて(最近はちょっと途切れていたが)支持層を拡大してきた、キャリア60年となるデンマークのヴェテラン・テナーサックス名手:イェスパー・ティロ(1941年デンマークのコペンハーゲン生まれ)の、待ちに待った久しぶりのニュー・アルバム=正々堂々ワンホーン・カルテットによる一編(スタジオ・レコーディングだが編集や修正は一切なしの一発ライヴ的録音とのこと)。
★締まりと柔らかみが好い按配で融和した、潤い豊かで味わいあるトーンのテナーが、明るく優しく温もりに溢れた、歌心も満点のスムース・ドライヴィングなメロディック・ブロウを流麗滑脱に悠々と、そして軽々と繰り出し続けて、清々しくて同時に渋い、超芳醇なる華を成し、一方、手堅くツボを心得つつ元気一杯に跳ね躍るバピッシュ&ファンキーなピアノ以下、リズム隊の何げに巧緻なサポートも的確にノリと旨味を強化してバッチリ魅力を際立たせた、全編歯切れよくノリノリでいてホッと暖かに心和む快適内容。
★深々と憩えるインティメイトなリラクゼーションと、闊達溌剌たるキレのいいダイナミックなスイング感、とがごく自然に共存した、徹底して親しみやすく取っ付きやすいメロディアス指向の大衆娯楽的な抒情派ハード・バップ(orモダン・スイング)妙演、が和気あいあいムードで愉しげに展開され、リズム・セクションの平易でありながら一糸乱れぬ精確でプロフェッショナルなサポートに頼もしく支えられながら、ティロ(ts)の、聴く者を柔和かつウォームに包み込んでくれるような、晴れやかにしてしみじみと哀愁も滲む、そしてまた雄々しいドライヴ感もみなぎったさすが醸熟のアドリブ妙技が、あくまで事も無げに飄々と、流れるように鮮やかな冴えを見せて全く見事。
→肩の力を抜いてふんわりスイスイと波乗りを楽しむかのような、自然体の寛いだ歌い泳ぎ様に終始し、しかもそのフレーズは巧まずして「メロディーの泉」然とした美しい端麗節の連続となっており、後には何とも云えぬ仄々とした温かな幽玄(余韻)が残る、という、そうした平明で作為なくも奥深い滋味ある風流な語り口は絶品だ。
01. Just Friends
02. I'll Never Be The Same
03. I Want To Be Happy
04. I Can't Get Started
05. Det Var En Lordag Aften (It Happened One Saturday Night)
06. Woody ‘n’ You
07. Broadway
08. Nature Boy
09. Rosetta
10. Embraceable You
11. Swinging Till The Girls Come Home
12. Splanky
Jesper Thilo (tenor saxophone except 08) (clarinet on 08)
Soren Kristiansen (piano)
Daniel Franck (bass)
Frands Rifbjerg (drums)
Rebecca Thilo Farholt (vocal on 08)
2019年10月23-25日デンマーク、コペンハーゲン-VanlosのThe Village Recording録音
レーベル:
Stunt
在庫有り
三面デジパック仕様CD