★また一段と円熟味(&貫祿)も増してきた、現代正統派ハード・バップ・テナーの大人気横綱:エリック・アレクサンダー(1968年イリノイ州ゲイルズバーグ生まれ)の、このニュー・アルバムは2012年〜2013年に吹き込まれていた(於NY州ロチェスター)もので、
アレクサンダーの長年の宿願だったというストリングスとの共演による(リズム・セクションは、デヴィッド・ヘイゼルタイン-p、ジョン・ウェバー-b、ジョー・ファンズワース-ds、の磐石体制)、初のウィズ・ストリングス・アルバム。
★しっとりとした澄んだ潤いやソフトでまろやかな温もりを湛えたストリングスのムード溢れる響鳴をバックに、引き締まったタフネスと柔らかな丸みや脱力感を併せ持った、ニュアンス濃やかで美味なるトーンのテナーが、豪快で雄々しくもスムース・ドライヴィングな、上手い具合にリキみの抜けた自然体調子のダイナミック・メロディック・ブロウをあくまで端正に、丁寧に紡いで、優雅なストリングス・サウンドに相性よく融け込みつつ味わい深く奥行き豊かな絵を悠々飾った、心地よさ抜群にして非常に密度の高い充実内容。
★バラード・コンセプトをメインとした歌心とリラクゼーション満点の明快直球抒情派快演、が折り目正しく綴られてゆき、カルテットのタイトなソリッド感ある凛としたハード・バピッシュ・サウンドと、ストリングスのエレガント&ムーディーな調べ、とが絶妙にブレンドされて、剛柔メリハリも自ずと細かにつけられる、中々深遠な劇的道程が展開してゆく中で、アレクサンダー(ts)の、決して奇を衒わず正攻法に徹して優しく朗々と美旋律を唄う、一聴ごくナチュラルそうでありながら何げによく考え練られ、鮮やかに構成されてもいるアドリブ妙技が、余情豊かな、そして絶えずワンポイントの余裕ある、泰然とした冴え渡り様を示して、見事。
→骨太く勇ましげで豪放なハード・ドライヴィング咆哮を頼もしげ・逞しげに轟き渡らせながら、同時並行的にソフト&マイルドなテンダネスも潤沢に漂わせる、という、全般に、パワフルでいて肩肘張らぬ和み感やセンシティヴな浪漫風情(〜優しさ)も巧まず備わった、その懐広く包容力も豊かな熟成された吹鳴のあり様は、おいしさ格別、快適度もバツグンで、弦楽アンサンブルとのマッチングも絶妙に、ウィズ・ストリングス物の王道を行く誠にゴキゲンな秀作に仕上がっている。
1. Gently (E. Alexander) 6:32
2. Dreamsville (H. Mancini) 5:09
3. Some Other Time (L. Bernstein) 5:34
4. Lonely Woman (H. Silver) 6:57
5. Slow, Hot Wind (H. Mancini / N. Gimbel) 6:21
6. The Thrill Is Gone (L. Brown / R. Henderson) 5:52
Eric Alexander (tenor saxophone)
David Hazeltine (piano)
John Webber (bass)
Joe Farnsworth (drums)
*featuring a string orchestra of 9 violins, 2 violas and 2 cellos with flute and french horn
*Dave Rivello (conductor and arranger)
2012年8月,2013年3月ニューヨーク州ロチェスターのThe Studios at Linden Oaks録音
レーベル:
HighNote
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